「さあ、わからない」
ハリーはすがる思いで周まわりを見回した。ブラックもルーピンも行ってしまった。……そばにいるのは、宙ちゅう吊づりになって、気を失っているスネイプだけだ。
「二人を城まで連れていって、誰かに話をしないと」
ハリーは目にかかった髪かみをかき上げ、筋すじ道みち立てて考えようとした。
「行こう――」
しかし、その時、暗くら闇やみの中から、キャンキャンと苦痛を訴うったえるような犬の鳴き声が聞こえてきた。
「シリウス」
ハリーは闇を見つめてつぶやいた。
一いっ瞬しゅん、ハリーは意を決しかねた。しかし、いまここにいても、ロンには何もしてやることができない。しかもあの声からすると、ブラックは窮きゅう地ちに陥おちいっている――。
ハリーは駆かけだした。ハーマイオニーもあとに続いた。甲かん高だかい鳴き声は湖のそばから聞こえてくるようだ。二人はその方向に疾しっ走そうした。全力で走りながら、ハリーは寒気さむけを感じたが、その意味には気づかなかった――。
キャンキャンという鳴き声が急にやんだ。湖のほとりにたどり着いた時、それがなぜなのかを二人は目もく撃げきした。――シリウスは人の姿に戻もどっていた。うずくまり、両手で頭を抱かかえている。
「やめろおおお」
シリウスが呻うめいた。
「やめてくれええええ……頼む……」
そして、ハリーは見た。吸魂鬼ディメンターだ。少なくとも百人が、真っ黒な塊かたまりになって、湖の周まわりからこちらに、滑すべるように近づいてくる。ハリーはあたりをぐるりと見回した。いつもの氷のように冷たい感覚が体の芯しんを貫つらぬき、目の前が霧きりのようにかすんできた。四方八方の闇の中から、次々と吸魂鬼ディエメンターが現れてくる。三人を包囲ほういしている……。
「ハーマイオニー、何か幸せなことを考えるんだ!」
ハリーが杖つえを上げながら叫さけんだ。目の前の霧きりを振り払おうと、激はげしく目を瞬しばたき、内側から聞こえはじめた微かすかな悲鳴ひめいを振り切ろうと、頭を振った――。
僕ぼくは名な付づけ親おやと暮らすんだ。ダーズリー一家と別れるんだ。
ハリーは、必死ひっしで、シリウスのことを、そしてそのことだけを考えようとした。そして、唱となえはじめた。
「エクスペクト・パトローナム、守護霊よ来たれ! エクスペクト・パトローナム!」
“我不知道。”哈利绝望地向四面看。布莱克和卢平都走了..和他们做伴的只有斯内普,斯内普还悬离地面,没有知觉。
“我们不如把他们弄到城堡里去,再告诉谁。”哈利说,一面把头发从眼睛面前拂开,努力把事情想清楚。“来吧—— ”
但就在这时,他们听见黑暗里传来一声吠叫、一声呜咽,一只狗负痛而吠..
“小天狼星。”哈利喃喃地说。瞪眼向黑暗里看去。他有一会儿拿不定主意,不过目前他们没法为罗恩做任何事,从声音听起来,布莱克遇到麻烦了..哈利拔脚飞奔,赫敏紧跟在后。吠叫声好像是从湖那边传过来的。他们拼命往那边跑。哈利竭尽全力跑着,感到冷,却没想一想感到冷意味着什么—— 嗥叫声突然停止了。他们跑到湖边才明白这是什么缘故—— 小天狼星又变成人了。他蹲着,双手举在头上。
“别别别,”他呻吟道,“别别别..请别..”然后哈里看见它们了。摄瑰怪,至少有一百个,黑黑的一团,在湖的周围向他们滑行过来。他飞快地转身,他所熟悉的那种冰冷的感觉渗透了他的五脏六腑,雾气开始模糊了他的视线,这帮家伙从四面八方的黑暗中更多地拥来;它们在包围..
“赫敏,想想高兴的事情!”哈利大叫着举起了魔杖,狂怒地眨着眼想看得清楚些,摇着脑袋以便摆脱脑子里已经开始的那种微弱的尖叫声—— 我要和教父一起生活了。我要离开德思礼一家了。他强迫自己想到小天狼星,只想小天狼星,而且开始吟唱:“呼神护卫!呼神护卫!”