ブラックは大きく身震みぶるいして引っくり返り、地面に横たわり動かなくなった。死人のように蒼あお白じろい顔だった。
シリウスは大だい丈じょう夫ぶだ。僕はシリウスと行く。シリウスと暮らすんだ。
「エクスペクト・パトローナム! ハーマイオニー、助けて! エクスペクト・パトローナム!」
「エクスペクト――」
ハーマイオニーも囁ささやくように唱えた。
「エクスペクト――エクスペクト――」
しかし、ハーマイオニーはうまくできなかった。吸魂鬼が近づいてくる。もう三メートルと離はなれていない。ハリーとハーマイオニーの周まわりを、吸魂鬼が壁かべのように囲かこみ、二人に迫せまってくる……。
「エクスペクト・パトローナム!」
ハリーは、耳の中で叫ぶ声をかき消そうと、大声で叫んだ。
「エクスペクト・パトローナム!」
杖の先から、銀色のものがひと筋流れ出て、目の前に霞かすみのように漂ただよった。と同時に、ハリーは隣となりのハーマイオニーが気を失うのを感じた。ハリーは独ひとりになった。……たった一人だった……。
「エクスペクト――エクスペクト・パトローナム――」
ハリーは膝ひざに冷たい下草を感じた。目に霧がかかった。渾こん身しんの力を振りしぼり、ハリーは記憶きおくを失うまいと戦った。――シリウスは無実だ――無実なんだ――僕たちは大丈夫だ――僕はシリウスと暮らすんだ――。
「エクスペクト・パトローナム!」
ハリーはあえぐように言った。
形にならない守護霊の弱々しい光で、ハリーは、吸魂鬼がすぐそばに立ち止まるのを見た。吸魂鬼は、ハリーが創つくり出した銀色の靄もやの中を通り抜けることができなかった。マントの下から、ヌメヌメした死人しびとのような手がスルスルと伸びてきて、守護霊を振り払うかのような仕種しぐさをした。
「やめろ――やめろ――」
ハリーはあえいだ。
「あの人は無実だ……エクスペクト――エクスペクト・パトローナム――」
“呼神护卫!赫敏,帮我!呼神护卫!”
“呼护—— ”赫敏低声说,“呼护—— 呼护—— ” 但是她说不好。摄魂怪逼近了,离他们不到十英尺了。它们在哈利和赫敏周围形成了一道坚实的墙,而且越逼越近..
“呼神护卫!”哈利狂叫,努力阻止耳朵里的尖叫声。
“呼神护卫!”他的魔杖冒出一缕银色的光线,像雾一样在他面前摇曳。与此同时,哈利感到赫敏倒在他身旁。他只有一个人了..完全一个人了..
“呼一呼神护卫—— ” ’ 哈利感到膝盖碰到冷草了。雾气弄得他视线模糊。他尽力记起—— 小天狼星是无辜的—— 无辜的—— 我们会没事的—— 我要和他一起生活了——
“呼神护卫!”他喘着气。