「誰かが窓から覗のぞいていたら――」
ハーマイオニーが、背後の城の窓を見上げて上ずった声を出した。
「全速力で走ろう」ハリーは決けつ然ぜんと言った。
「まっすぐ森に入るんだ。いいね? 木の陰かげかなんかに隠れて、様子を窺うかがうんだ――」
「いいわ。でも温室を回り込んで行きましょう!」
ハーマイオニーが息を弾はずませながら言った。
「ハグリッドの小屋の戸口から見えないようにしなきゃ。じゃないと、私たち、自分たちに見られてしまう! ハグリッドの小屋に私たちがもう着くころだわ!」
ハーマイオニーの言ったことがよく呑のみ込めないまま、ハリーは全力で走りだした。ハーマイオニーがあとに続いた。野菜やさい畑ばたけを突っ切り、温室にたどり着き、その陰でひと呼吸入れてから、二人はまた走った。全速力で、「暴あばれ柳やなぎ」を避さけながら、隠れ場所となる森まで駆かけ抜けた。
木々の陰に入って安全になってから、ハリーは振り返った。数秒後、ハーマイオニーも息を切らしてハリーのそばにたどり着いた。
「これでいいわ」ハーマイオニーがひと息入れた。
「ハグリッドのところまで忍んでいかなくちゃ。見つからないようにね、ハリー……」
二人は森の端はしを縫ぬうように、こっそりと木々の間を進んだ。やがて、ハグリッドの小屋の戸口が垣間かいま見え、戸を叩たたく音が聞こえた。二人は急いで太い樫かしの木の陰に隠れ、幹みきの両りょう脇わきから覗のぞいた。ハグリッドが、青ざめた顔で震ふるえながら、戸口に顔を出し、誰が戸を叩いたのかとそこら中を見回した。そして、ハリーは自分自身の声を聞いた。
「僕たちだよ。『透とう明めいマント』を着てるんだ。中に入れて。そしたらマントを脱ぐから」
“我们跑过去,”哈利坚决地说,“直奔那树林,好吗?我们必须躲在树或者什么东西后面,然后往外看。”
“好的,不过我们要绕过那暖房!”赫敏气喘吁吁地说,“我们必须躲开海格的前门,要不然我们会看见我们的!现在我们一定已经走近海格的小屋了!”
“对,”她气喘吁吁地说,“我们需要偷偷地到海格那里。别让人看见,哈利..”