再びファッジの声が聞こえてきた時、ハリーは木陰こかげから飛び出し、かぼちゃ畑の柵さくを飛び越え、バックビークに近づいた。
「『危険きけん生せい物ぶつ処理しょり委い員いん会かい』は、ヒッポグリフのバックビーク、以後被告ひこくと呼ぶ、が、六月六日の日にち没ぼつ時じに処しょ刑けいさるべしと決定した――」
瞬まばたきをしないよう注意しながら、ハリーは以前に一度やったように、バックビークの荒々しいオレンジ色の目を見つめ、お辞じ儀ぎした。バックビークは鱗うろこで覆おおわれた膝ひざを曲げていったん身を低くし、また立ち上がった。ハリーは、バックビークを柵さくに縛しばりつけている綱つなを解とこうとした。
「……死刑は斬ざん首しゅとし、委員会の任にん命めいする執しっ行こう人にん、ワルデン・マクネアによって執行され……」
「バックビーク、来るんだ」ハリーがつぶやくように話しかけた。
「おいで、助けてあげるよ。そーっと……そーっと……」
「以下を証しょう人にんとす。ハグリッド、ここに署しょ名めいを……」
ハリーは全体重をかけて綱を引ひっ張ぱったが、バックビークは前脚あしで踏ふん張ばった。
「さあ、さっさと片づけましょうぞ」
ハグリッドの小屋から委員会のメンバーのひょろひょろした声が聞こえた。
「ハグリッド、君は中にいたほうがよくはないかの――」
「いんや、俺おれは――俺はあいつと一いっ緒しょにいたい……あいつを独ひとりぼっちにはしたくねえ――」
小屋の中から足音が響ひびいてきた。
「バックビーク、動いてくれ!」ハリーが声を殺して促うながした。
ハリーはバックビークの首にかかった綱をぐいっと引いた。ヒッポグリフは、イライラと翼つばさをこすり合わせながら歩きはじめた。森までまだ三メートルはある。ハグリッドの裏戸うらどから丸見えだ。
「マクネア、ちょっと待ちなさい」ダンブルドアの声がした。「君も署名せねば」
小屋の足音が止まった。
“处置危险生物委员会决定,鹰头马身有翼兽巴克比克,以下称为已被定罪者。应于六月六日日落时分处决..”
哈利再次瞪视巴克比克那双凶猛的橘黄色眼睛,一面告诫自己不要眨眼,而且对它鞠躬。巴克比克弯了弯有鳞片的膝头,又站直了。哈利开始摸索着解开把巴克比克拴在篱笆上的绳子。
“来吧,巴克比克,”哈利喃喃地说,“来吧,我们要帮助你。悄悄地..悄悄地..”
..以下作为见证人。海格,你在这里签名..
哈利把全身重量都用来拉绳子,但是巴克比克已经用前脚牢牢站住。
“好吧,让我们把这件事干完。”海格小屋里传来委员会成员那尖尖的声音。“海格,你呆在屋内不要出来,这样也许好些..”
“巴克比克,快走!”哈利嘶嘶地说。
“请等一下,麦克尼尔,”传来邓布利多的声音,“你也要签名。”脚步声停了。