ブラックは窓まど枠わくの両りょう端たんに手をかけ、窓から頭と肩とを突き出した。やせ細っていたのが幸いだった。すぐさま、ブラックは片足をバックビークの背中にかけ、ハーマイオニーの後ろに跨またがった。
「よーし、バックビーク、上じょう昇しょう!」ハリーは手綱をひと振りした。
「塔とうの上まで――行くぞ!」
ヒッポグリフはその力強い翼を大きく羽撃かせ、西塔のてっぺんまで、三人は再び高々と舞い上がった。バックビークは軽い爪つま音おとをたてて胸きょう壁へきに囲まれた塔とう頂ちょうに降おり立ち、ハリーとハーマイオニーは、すぐさまその背中から滑すべり降りた。
「シリウス、もう行って。早く」息を切らしながらハリーが言った。「みんなが、まもなくフリットウィック先生の事じ務む所しょにやってくる。あなたがいないことがわかってしまう」
バックビークは首を激はげしく振り、石の床に爪を立てて引ひっ掻かいていた。
「もう一人の子は、ロンはどうした?」シリウスが急せき込こんで聞いた。
「大だい丈じょう夫ぶ――まだ気を失ったままです。でも、マダム・ポンフリーが、治なおしてくださるって言いました。早く――行って!」
しかし、ブラックはまだじっとハリーを見下ろしたままだった。
「なんと礼を言ったらいいのか――」
「行って!」ハリーとハーマイオニーが同時に叫さけんだ。
ブラックはバックビークを一ひと回りさせ、空のほうに向けた。
「また会おう」ブラックが言った。「君は――本当に、お父さんの子だ。ハリー……」
ブラックはバックビークの脇わき腹ばらを踵かかとで締しめた。巨大な両りょう翼よくが再び振り上げられ、ハリーとハーマイオニーは飛びのいた……ヒッポグリフが飛ひ翔しょうした……乗り手とともに、ヒッポグリフの姿がだんだん小さくなっていくのを、ハリーはじっと見送った。……やがて雲が月にかかった……二人は行ってしまった。
“布莱克,你最好快走,”哈利喘着气说,“他们随时都会到弗立维的办公室去的,他们会发现你跑了。”巴克比克脚爪抓地,扬起它那尖尖的脑袋。