「ムーニー、ワームテール、パッドフット、プロングズが、僕ぼくを学校から誘さそい出したいと思うだろうって、先生、そうおっしゃいました。……おもしろがってそうするだろうって」
「ああ、そのとおりだったろうね」ルーピンは、もうスーツケースを閉めようとしていた。
「ジェームズだったら、自分の息子むすこが、この城を抜け出す秘密ひみつの通路を一つも知らずに過ごしたなんてことになったら、大いに失望しただろう。これは間違いなく言える」
ドアをノックする音がした。ハリーは急いで「忍びの地図」と「透とう明めいマント」をポケットに押し込んだ。
ダンブルドア先生だった。ハリーがいるのを見ても驚いた様子もない。
「リーマス、門のところに馬車が来ておる」
「校長、ありがとうございます」
ルーピンは古ぼけたスーツケースと、空からになった水魔グリンデローの水すい槽そうを取り上げた。
「それじゃ――さよなら、ハリー」ルーピンが微笑ほほえんだ。
「君の先生になれてうれしかったよ。またいつかきっと会える。校長、門までお見送りいただかなくて結けっ構こうです。一人で大だい丈じょう夫ぶです……」
ハリーは、ルーピンが一いっ刻こくも早く立ち去りたがっているような気がした。
「それでは、さらばじゃ、リーマス」
ダンブルドアが重々しく言った。ルーピンは水魔の水槽を少し脇わきによけてダンブルドアと握あく手しゅできるようにした。最後にもう一度ハリーに向かって頷うなずき、ちらりと笑顔を見せて、ルーピンは部屋を出ていった。
ハリーは主あるじのいなくなった椅い子すに座り、ふさぎ込こんで床を見つめていた。ドアが閉まる音が聞こえて見上げると、ダンブルドアがまだそこにいた。
「どうしたね? そんなに浮かない顔をして」ダンブルドアが静かに言った。
「昨夜さくやのあとじゃ。自分を誇ほこりに思ってよいのではないかの」
「何にもできませんでした」ハリーは苦にがいものを噛かみしめるように言った。
「ぺティグリューは逃げてしまいました」
「何にもできなかったとな?」ダンブルドアの声は静かだ。
「ハリー、それどころか大きな変化をもたらしたのじゃよ。君は、真実を明らかにするのを手伝った。一人の無実の男を、恐ろしい運命から救ったのじゃ」
恐ろしい。何かがハリーの記憶きおくを刺激しげきした。以前よりさらに偉大いだいに、より恐ろしく……トレローニー先生の予言よげんだ!
“干吗那么不高兴呀,哈利?”他平静地说,“昨晚以后,你应该为自己感到非常自豪。”
“没有什么两样,”哈利痛苦地说,“小矮星彼得逃走了。”