バーノンおじさんは一いっ張ちょう羅らの背せ広びろを着込んでいた。他ひ人とが見たら、これは歓かん迎げいの気持の表れだと思うかもしれない。しかし、ハリーにはわかっていた。おじさんは威い風ふう堂どう々どう、威い嚇かく的てきに見えるようにしたかったのだ。
一方ダドリーは、なぜか縮ちぢんだように見えた。ついにダイエット効果が現れた、というわけではなく、恐怖のせいだった。ダドリーがこの前に魔法使いに出会ったときは、ズボンの尻しりから豚の尻しっ尾ぽがくるりと飛び出す結末になり、おじさんとおばさんはロンドンの私立病院で尻尾を取ってもらうのに高いお金を払った。だから、ダドリーが尻のあたりをしょっちゅうソワソワ撫なでながら、前回と同じ的を敵に見せまいと、部屋から部屋へ蟹かに歩きで歩いているのも、まったく変だというわけではない。
昼食の間、ほとんど沈ちん黙もくが続いた。ダドリーは、カッテージチーズとセロリおろしの食事に文句も言わなかった。ペチュニアおばさんは何にも食べない。腕を組み、唇くちびるをギュッと結び、ハリーに向かってさんざん投げつけたい悪あっ口こう雑ぞう言ごんを噛かみ殺しているかのように、舌をモゴモゴさせているようだった。
「当然、車で来るんだろうな?」テーブル越しにおじさんが吠ほえた。
「えーと」ハリーは考えてもみなかった。
ウィーズリー一家はどうやってハリーを迎えにくるのだろう? もう車は持っていない。昔持っていた中古のフォード・アングリアは、いまはホグワーツの「禁きんじられた森」で野や生せい化かしている。でも、ウィーズリーおじさんは昨年、魔ま法ほう省しょうから車を借りているし、また今日も借りるのだろうか?
「そうだと思うけど」ハリーは答えた。