「どこにいたの」ハーマイオニーが勢いよく立ち上がり、心配そうに言った。
「歩いてた」ロンがぼそりと言った。まだクィディッチのユニフォームを着たままだ。
「凍こごえてるじゃない」ハーマイオニーが言った。「こっちに来て、座って」
ロンは暖炉のところに歩いてきて、ハリーから一番離はなれた椅子に身を沈めた。ハリーの目を避けていた。囚とらわれの身となったスニッチが、三人の頭上をブンブン飛んでいた。
「ごめん」ロンが足元を見つめながらボソボソ言った。
「何が」ハリーが言った。
「僕がクィディッチができるなんて考えたから」ロンが言った。「明日の朝一番でチームを辞やめるよ」
「君が辞めたら」ハリーがイライラと言った。「チームには三人しか選手がいなくなる」
ロンが怪訝けげんな顔をしたので、ハリーが言った。
「僕は終しゅう身しんクィディッチ禁止になった。フレッドもジョージもだ」
「ヒェッ」ロンが叫さけんだ。
ハーマイオニーがすべての経緯いきさつを話した。ハリーはもう一度話すことさえ耐たえられなかった。ハーマイオニーが話し終えると、ロンはますます苦悶くもんした。
「みんな僕のせいだ――」
「僕がマルフォイを打ちのめしたのは、君がやらせたわけじゃない」ハリーが怒ったように言った。
「――僕が試合であんなにひどくなければ――」
「――それとは何の関係もないよ」
「――あの歌で上がっちゃって――」
「――あの歌じゃ、誰だって上がったさ」
ハーマイオニーは立ち上がって言い争いから離はなれ、窓際まどぎわに歩いて行って、窓ガラスに逆巻さかまく雪を見つめていた。
「おい、いい加減かげんにやめてくれ」ハリーが爆発ばくはつした。「もう十分に悪いことずくめなんだ。君が何でもかんでも自分のせいにしなくたって」
ロンは何も言わなかった。ただしょんぼりと、濡ぬれた自分のローブの裾すそを見つめて座っていた。しばらくして、ロンがどんよりと言った。
「生しょう涯がいで、最悪の気分だ」
「仲間なかまが増えたよ」ハリーが苦々にがにがしく言った。
「ねえ」
ハーマイオニーの声が微かすかに震ふるえていた。
「一つだけ、二人を元気づけることがあるかもしれないわ」
「へー、そうかい」ハリーはあるわけがないと思った。
「ええそうよ」
ハーマイオニーが、点々と雪片ゆきひらのついた真っ暗な窓から目を離し、二人を見た。顔中で笑っている。
「ハグリッドが帰ってきたわ」