「えっ? だけど、君は第二の課題が何かを知らない――」ハリーが言った。
「ドビーは知っております! ハリー・ポッターは、湖に入って、探さなければなりません。あなたさまのウィージーを――」
「僕の、何だって?」
「――そして、水中人からあなたさまのウィージーを取り戻すのです!」
「ウィージーって何だい?」
「あなたさまのウィージーでございます。ウィージー――ドビーにセーターをくださったウィージーでございます!」
ドビーはショートパンツの上に着ている縮んだ栗色のセーターを摘つまんでみせた。
「何だって?」ハリーは息を呑のんだ。「水中人が取ってったのは……とってったのは、ロン?」
「ハリー・ポッターがいちばん失いたくないものでございます!」ドビーがキーキー言った。「そして、一時間過ぎると――」
「――『もはや望みはありえない』」ハリーは恐怖に打ちのめされ、目を見張って妖よう精せいを見ながら、あの歌を繰り返した。
「『遅すぎたなら そのものは もはや二度とは戻らない……』ドビー――僕、何をすればいいんだろう?」
「あなたさまは、これを食べるのです」
妖精はキーキー言って、ショートパンツのポケットに手を突っ込み、ねずみの尻しっ尾ぽを団だん子ごにしたような、灰緑はいみどり色のヌルヌルしたものを取り出した。
「湖に入るすぐ前にでございます――ギリウィード、鰓えら昆こん布ぶです!」
「何するもの?」ハリーは鰓昆布を見つめた。
「これは、ハリー・ポッターが水中で息ができるようにするのです!」
「ドビー」ハリーは必死だった。「ね――ほんとにそうなの?」
以前にドビーがハリーを「助けよう」としたとき、結局右腕が骨抜きになってしまったことを、ハリーは完全に忘れるわけにはいかなかった。
「ドビーは、ほんとにほんとでございます!」妖よう精せいは大おお真ま面じ目めだった。
「ドビーは耳みみ利ききでございます。ドビーは屋や敷しき妖精でございます。火を熾おこし、床にモップをかけ、ドビーは城の隅すみ々ずみまで行くのでございます。ドビーはマクゴナガル先生とムーディ先生が、職員室で次の課題を話しているのを耳にしたのでございます……ドビーはハリー・ポッターにウィージーを失わせるわけにはいかないのでございます!」