ビルが微ほほ笑えみながら立ち上がって、ハリーと握手した。ビルにはちょっと驚かされた。魔法銀行のグリンゴッツに勤めていること、ホグワーツでは首しゅ席せきだったことをハリーは知っていたし、パーシーがやや歳を取ったような感じだろうと、ずっとそう思っていた。規則を破るとうるさくて、周囲を仕切るのが好きなタイプだ。ところが、ビルは――ぴったりの言葉はこれしかない――かっこいい。背が高く、髪かみを伸ばしてポニーテールにしていた。片耳に牙きばのようなイヤリングをぶら下げていた。服ふく装そうは、ロックコンサートに行っても場違いの感がしないだろう。ただし、ブーツは牛革ぎゅうがわではなくドラゴン革なのにハリーは気づいた。
みんながそれ以上言葉を交かわさないうちに、ポンと小さな音がして、ジョージの肩のあたりに、ウィーズリーおじさんがどこからともなく現れた。ハリーがこれまで見たこともないほど怒った顔をしている。
「フレッド! 冗談じょうだんじゃすまんぞ!」おじさんが叫さけんだ。「あのマグルの男の子に、いったい何をやった?」
「俺、何にもあげなかったよ」フレッドがまた悪いた戯ずらっぽくニヤッとしながら答えた。
「俺、落としちゃっただけだよ……拾って食べたのはあいつが悪いんだ。俺が食えって言ったわけじゃない」
「わざと落としたろう!」ウィーズリーおじさんが吠ほえた。「あの子が食べると、わかっていたはずだ。おまえは、あの子がダイエット中なのを知っていただろう――」
「あいつのベロ、どのくらい大きくなった?」ジョージが熱っぽく聞いた。
「ご両親がやっと私に縮めさせてくれたときには、一メートルを超こえていたぞ!」
ハリーもウィーズリー家の息子たちも、また大だい爆ばく笑しょうだった。