おじさんは、褐色かっしょくのゴワゴワした顎あご鬚ひげの、血色のよい顔の魔法使いと握あく手しゅした。男は左手に黴かびだらけの古いブーツをぶら下げていた。
「みんな、エイモス・ディゴリーさんだよ」おじさんが紹介しょうかいした。「『魔ま法ほう生せい物ぶつ規き制せい管かん理り部ぶ』にお勤つとめだ。みんな、息子さんのセドリックは知ってるね?」
セドリック・ディゴリーは、十七歳くらいのとてもハンサムな青年だった。ホグワーツでは、ハッフルパフ寮りょうのクィディッチ・チームのキャプテンで、シーカーでもあった。
「やあ」セドリックがみんなを見回した。
みんなも「やあ」と挨あい拶さつを返したが、フレッドとジョージは黙だまって頭をコックリしただけだった。去年、自分たちの寮、グリフィンドールのチームを、セドリックがクィディッチ開かい幕まく戦せんで打ち負かしたことが、いまだに許しがたいのだ。
「アーサー、ずいぶん歩いたかい?」セドリックの父親が聞いた。
「いや、まあまあだ」おじさんが答えた。「村のすぐ向こう側に住んでるからね。そっちは?」
「朝の二時起きだよ。なあ、セド? まったく、こいつが早く『姿現すがたあらわし』のテストを受ければいいのにと思うよ。いや……愚ぐ痴ちは言うまい……クィディッチ・ワールドカップだ。たとえガリオン金きん貨か一袋ひとふくろやるからと言われたって、それで見み逃のがせるものじゃない――もっとも切符二枚で金貨一袋分くらいはしたがな。いや、しかし、わたしのところは二枚だから、まだ楽なほうだったらしいな……」
エイモス・ディゴリーは人のよさそうな顔で、ウィーズリー家の三人の息子と、ハリー、ハーマイオニー、ジニーを見回した。
「全部君の子かね、アーサー?」
「まさか。赤毛の子だけだよ」ウィーズリーおじさんは子供たちを指差した。
「この子はハーマイオニー、ロンの友達だ――こっちがハリー、やっぱり友達だ――」
「おっと、どっこい」エイモス・ディゴリーが目を丸くした。「ハリー? ハリー・ポッターかい?」
「あ――ええ」ハリーが答えた。
誰かに会うたびにしげしげと見つめられることに、ハリーはもう慣れっこになっていたし、視し線せんがすぐに額ひたいの稲いな妻ずま形がたの傷きず痕あとに走るのにも慣れてはいたが、そのたびに何だか落ち着かない気持になった。