「毎度のことだ」ウィーズリーおじさんが微笑んだ。「大勢集まると、どうしても見み栄えを張りたくなるらしい。ああ、ここだ。ご覧、この場所が私たちのだ」
たどり着いた所は、キャンプ場のいちばん奥で、森の際きわだった。その空あき地ちに小さな立て札が打ち込まれ、「うーいづり」と書いてあった。
「最高のスポットだ!」ウィーズリーおじさんはうれしそうに言った。
「競きょう技ぎ場じょうはちょうどこの森の反対側だから、こんなに近いところはないよ」
おじさんは肩にかけていたリュックを降ろした。
「よし、と」おじさんは興こう奮ふん気ぎ味みに言った。
「魔法は、厳げん密みつに言うと、許されない。これだけの数の魔法使いがマグルの土地に集まっているのだからな。テントは手作りでいくぞ! そんなに難しくはないだろう……マグルがいつもやっていることだし……さあ、ハリー、どこから始めればいいと思うかね?」
ハリーは生まれてこのかた、キャンプなどしたことがなかった。ダーズリー家では、休みの日にハリーをどこかへ連れていってくれた例ためしがない。いつも近所のフィッグばあさんのところへ預けて置き去りにした。だが、ハーマイオニーと二人で考え、柱や杭くいがどこに打たれるべきかを解かい明めいした。ウィーズリーおじさんは、木き槌づちを使う段だんになると、完全に興奮状態だったので、役に立つどころか足手まといだった。それでも何とかみんなで、二人用の粗そ末まつなテントを二ふた張はり立ち上げた。
みんなちょっと下がって、自分たちの手作り作品を眺ながめ、大満足だった。誰が見たって、これが魔法使いのテントだとは気づくまい、とハリーは思った。しかし、ビル、チャーリー、パーシーが到着とうちゃくしたら、全部で十人になってしまうのが問題だ。ハーマイオニーもこの問題に気づいたようだった。おじさんが四よつん這ばいになってテントに入っていくのを見ながら、ハーマイオニーは「どうするつもりかしら」という顔でハリーを見た。