「あの子たち、誰だと思う?」ハリーが聞いた。「ホグワーツの生徒、じゃないよね?」
「どっか外国の学校の生徒だと思うな」ロンが答えた。「学校がほかにもあるってことは知ってるよ。ほかの学校の生徒に会ったことはないけど。ビルはブラジルの学校にペンパルがいたな……もう何年も前のことだけど……それでビルは学校同士の交こう換かん訪ほう問もん旅りょ行こうに行きたかったんだけど、家うちじゃお金が出せなくて。ビルが行かないって書いたら、ペンパルがすごく腹を立てて、帽ぼう子しに呪のろいをかけて送ってよこしたんだ。お陰でビルの耳が萎しなびちゃってさ」
ハリーは笑ったが、魔法学校が他にもあると聞いて驚いたことは黙だまっていた。キャンプ場にこれだけ多くの国の代表が集まっているのを見たいま、ホグワーツ以外にも魔法学校があるということに気づかなかった自分がばかだと思った。ハーマイオニーのほうをちらりと見ると、まったく平気な顔をしていた。他にも魔法学校があることを何かの本で読んだに違いない。
「遅かったなあ」三人がやっとウィーズリー家のテントに戻ると、ジョージが言った。
「いろんな人に会ったんだ」水を降ろしながらロンが言った。「まだ火を熾おこしてないのか?」
「親おや父じがマッチと遊んでてね」フレッドが言った。
ウィーズリーおじさんは火をつける作業がうまくいかなかったらしい。しかし、努力が足りなかったわけではない。折れたマッチが、おじさんの周りにぐるりと散らばっていた。しかも、おじさんは、わが人生最高のとき、という顔をしていた。
「うわっ!」おじさんは、マッチを擦こすって火を点つけたものの、驚いてすぐ取り落とした。
「ウィーズリーおじさん、こっちに来てくださいな」ハーマイオニーがやさしくそう言うと、マッチ箱をおじさんの手から取り、正しいマッチの使い方を教えはじめた。