やっと火が点いた。しかし、料理ができるようになるには、それから少なくとも一時間はかかった。それでも、見物するものには事こと欠かかなかった。ウィーズリー家のテントは、いわば競きょう技ぎ場じょうへの大通りに面しているらしく、魔ま法ほう省しょうの役人が気ぜわしく行いき交かった。通りがかりに、みんながおじさんに丁てい寧ねいに挨あい拶さつした。おじさんは、ひっきりなしに解説した。自分の子供たちは魔法省のことをいやというほど知っているので、いまさら関心はなく、主にハリーとハーマイオニーのための解説だった。
「いまのはカスバート・モックリッジ。小鬼ゴブリン連れん絡らく室しつの室長だ……いまやってくるのがギルバート・ウィンプル。実じっ験けん呪じゅ文もん委い員いん会かいのメンバーだ。あの角つのが生はえてからもうずいぶんたつな……やあ、アーニー……アーノルド・ピーズグッドだ。『忘ぼう却きゃく術じゅつ士し』――ほら、『魔ま法ほう事じ故こリセット部ぶ隊たい』の隊員だ……そして、あれがボードとクローカー……『無む言ごん者しゃ』だ……」
「え? 何ですか?」
「神しん秘ぴ部ぶに属ぞくしている。極ごく秘ひ事じ項こうだ。いったいあの部門は何をやっているのやら……」
ついに火の準備が整った。卵とソーセージを料理しはじめたとたん、ビル、チャーリー、パーシーが森のほうからゆっくりと歩いてきた。
「パパ、ただいま『姿現すがたあらわし』ました」パーシーが大声で言った。
「ああ、ちょうどよかった。昼食だ!」
卵とソーセージの皿が半分ほど空からになったとき、ウィーズリーおじさんが急に立ち上がってニコニコと手を振った。大おお股またで近づいてくる魔法使いがいた。
「これは、これは!」おじさんが言った。「時ときの人! ルード!」