ルード・バグマンはハリーがこれまでに出会った人の中でも――あの花はな模も様ようネグリジェのアーチーじいさんも含めて――いちばん目立っていた。鮮あざやかな黄色と黒の太い横よこ縞じまが入ったクィディッチ用の長いローブを着ている。胸に巨大なスズメバチが一匹描えがかれている。たくましい体つきの男が、少し弛たるんだという感じだった。イングランド代表チームでプレイしていたころにはへこんでいただろうと思われる大きな腹のあたりで、ローブがパンパンになっていた。鼻はつぶれている(迷めい走そうブラッジャーにつぶされたのだろうとハリーは思った)。しかし、丸いブルーの瞳ひとみ、短いブロンドの髪かみ、ばら色の顔が、育ちすぎた少年のような感じを与えていた。
「よう、よう!」バグマンがうれしそうに呼びかけた。まるで踵かかとにバネがついているように弾はずんで、完全に興こう奮ふんしまくっている。「わが友、アーサー」
バグマンはフーッフーッと息を切らしながら、焚たき火びに近づいた。
「どうだい、この天気は。え? どうだい! こんな完全な日ひ和よりはまたとないだろう? 今夜は雲ひとつないぞ……それに準備は万ばん全ぜん……俺おれの出る幕まくはほとんどないな!」
バグマンの背はい後ごを、げっそりやつれた魔ま法ほう省しょうの役人が数人、遠くのほうで魔ま法ほう火びが燃えている印の火花を指差しながら急いで通り過ぎた。魔法火は、六メートルもの上空に紫むらさきの火花を上げていた。
パーシーが急いで進み出て、握あく手しゅを求めた。ルード・バグマンが担当の部を取り仕切るやり方が気に入らなくとも、それはそれ、バグマンに好こう印いん象しょうを与えるほうが大切らしい。