「賭かけるよ。三十七ガリオン、十五シックル、三クヌートだ」
ジョージと二人で急いでコインを掻かき集めながら、フレッドが言った。
「まずアイルランドが勝つ――でも、ビクトール・クラムがスニッチを捕る。あ、それから、『だまし杖づえ』も賭け金に上乗せするよ」
「バグマンさんに、そんなつまらない物をお見せしてはだめじゃないか――」
パーシーが口をすぼめて非ひ難なんがましく言ったが、バグマンはつまらない物とは思わなかったらしい。それどころか、フレッドから杖を受け取ると、子供っぽい顔が興こう奮ふんで輝かがやき、杖がガアガア大きな鳴き声を上げてゴム製のおもちゃの鶏にわとりに変わると、大声を上げて笑った。
「すばらしい! こんなに本物そっくりな杖を見たのは久し振りだ。わたしならこれに五ガリオン払ってもいい!」
パーシーは驚いて、こんなことは承しょう知ちできないとばかりに身を強こわばらせた。
「おまえたち」ウィーズリーおじさんが声をひそめた。
「賭けはやってほしくないね……貯金の全部だろうが……母さんが――」
「お堅かたいことを言うな、アーサー!」
ルード・バグマンが興奮気味にポケットをチャラチャラいわせながら声を張り上げた。
「もう子供じゃないんだ。自分たちのやりたいことはわかってるさ! アイルランドが勝つが、クラムがスニッチを捕るって? そりゃありえないな、お二人さん、そりゃないよ……二人にすばらしい倍ばい率りつをやろう……その上、おかしな杖に五ガリオンつけよう。それじゃ……」
バグマンがすばやくノートと羽根ペンを取り出して双ふた子ごの名前を書きつけるのを、ウィーズリーおじさんはなす術すべもなく眺ながめていた。
「サンキュ」バグマンがよこした羊よう皮ひ紙しメモを受け取り、ローブの内うちポケットにしまい込みながら、ジョージが言った。
バグマンは上じょう機き嫌げんでウィーズリーおじさんのほうに向き直った。