「お茶がまだだったな? バーティ・クラウチをずっと探しているんだが。ブルガリア側の責任者がゴネていて、俺おれには一言もわからん。バーティなら何とかしてくれるだろう。かれこれ百五十ヵ国語が話せるし」
「クラウチさんですか?」体を突っ張らせて不服そうにしていたパーシーが、突然堅かたさをかなぐり捨て、興奮でのぼせ上がった。
「あの方かたは二百ヵ国語以上話します! 水中人マーピープルのマーミッシュ語、小鬼ゴブリンのゴブルディグック語、トロールの……」
「トロール語なんて誰だって話せるよ」フレッドがバカバカしいという調子で言った。「指差してブーブー言えばいいんだから」
パーシーはフレッドに思いっきりいやな顔を向け、乱暴に焚たき火びを掻き回してヤカンをグラグラッと沸ふっ騰とうさせた。
「バーサ・ジョーキンズのことは、何か消息しょうそくがあったかね、ルード?」
バグマンがみんなと一いっ緒しょに草むらに座り込むと、ウィーズリーおじさんが尋たずねた。
「なしのつぶてだ」バグマンは気楽に言った。「だが、そのうち現れるさ。あのしょうのないバーサのことだ……漏もれ鍋なべみたいな記憶力。方ほう向こう音おん痴ち。迷まい子ごになったのさ。絶対間違いない。十月ごろになったら、ひょっこり役所に戻ってきて、まだ七月だと思ってるだろうよ」
「そろそろ捜そう索さく人にんを出したほうがいいんじゃないのか?」
パーシーがバグマンにお茶を差し出すのを見ながら、ウィーズリーおじさんが遠えん慮りょがちに提案した。
「バーティ・クラウチはそればっかり言ってるなあ」
バグマンは丸い目を見開いて無む邪じゃ気きに言った。
「しかし、いまはただの一人もむだにはできん。おっ――噂うわさをすればだ! バーティ!」