「ああ、それにアーサー、君とも話したかった」
クラウチ氏は鋭するどい目でウィーズリーおじさんを見下ろした。
「アリ・バシールが襲撃しゅうげきしてくるぞ。空そら飛とぶ絨毯じゅうたんの輸入禁止について君と話したいそうだ」
ウィーズリーおじさんは深いため息をついた。
「そのことについては先週ふくろう便びんを送ったばかりだ。何百回言われても答えは同じだよ。絨毯は『魔ま法ほうをかけてはいけない物ぶっ品ぴん登とう録ろく簿ぼ』に載のっていて、『マグルの製せい品ひん』だと定てい義ぎされている。しかし、言ってわかる相手かね?」
「だめだろう」クラウチ氏がパーシーからカップを受け取りながら言った。
「わが国に輸出したくて必死だから」
「まあ、イギリスでは箒ほうきに取って代わることはあるまい?」バグマンが言った。
「アリは、家族用乗り物として市場に入り込む余よ地ちがあると考えている」
クラウチ氏が言った。
「私の祖そ父ふが、十二人乗りのアクスミンスター織おりの絨毯を持っていた――しかし、もちろん絨毯が禁止になる前だがね」
まるで、クラウチ氏の先せん祖ぞがみな厳げん格かくに法を遵守じゅんしゅしたことに、毛ほども疑いを持たれたくないという言い方だった。
「ところで、バーティ、忙いそがしくしてるかね」バグマンがのどかに言った。
「かなり」クラウチ氏は愛あい想そのない返事をした。
「五大陸にわたって『移動キー』を組織するのは並なみ大たい抵ていのことではありませんぞ。ルード」
「二人とも、これが終わったらほっとするだろうね」ウィーズリーおじさんが言った。
バグマンが驚いた顔をした。
「ほっとだって! こんなに楽しんだことはないのに……それに、その先も楽しいことが待ちかまえているじゃないか。え? バーティ? そうだろうが? まだまだやることがたくさんある。だろう?」
クラウチ氏は眉まゆを吊つり上げてバグマンを見た。