ハリーは広告塔から目を離し、ボックス席に他に誰かいるかと振り返って見た。まだ誰もいない。ただ、後ろの列の、奥から二番目の席に小さな生き物が座っていた。短すぎる足を、椅子の前方にチョコンと突き出し、キッチン・タオルをトーガ風にかぶっている。顔を両手で覆おおっているが、長いコウモリのような耳に何となく見覚えがあった……。
「ドビー?」ハリーは半はん信しん半はん疑ぎで呼びかけた。
小さな生き物は、顔を上げ、指を開いた。とてつもなく大きい茶色の目と、大きさも形も大おお型がたトマトそっくりの鼻が指の間から現れた。ドビーではなかったが、屋や敷しきしもべ妖よう精せいに間違いない。ハリーの友達のドビーも、かつて屋敷しもべだった。ハリーはドビーをかつての主人、マルフォイ一家から自由にしてやったのだ。
「旦だん那なさまはあたしのこと、ドビーってお呼びになりましたか?」
しもべ妖精は指の間から怪け訝げんそうに、甲かん高だかい声で尋たずねた。ドビーの声も高かったが、もっと高く、か細い、震ふるえるようなキーキー声だった。ハリーは――屋敷しもべ妖精の場合はとても判断しにくいが――これはたぶん女性だろうと思った。ロンとハーマイオニーがくるりと振り向き、よく見ようとした。二人とも、ハリーからドビーのことをずいぶん聞いてはいたが、ドビーに会ったことはなかった。ウィーズリーおじさんでさえ興きょう味みを持って振り返った。
哈利将视线从广告牌上收回,扭进头去,看看还有谁和他们一起坐在这个包厢里。包厢里现在还没什么人,只是在他们后面一排的倒数第二个座位上坐着一个小得出奇的家伙。那小家伙的两条腿太短了,只能伸在它前面的椅子上。它身上围着一条擦拭茶具的茶巾,像穿着一件宽松的袍子,它的脸埋在两只手里。可是,那一对长长的、蝙蝠般的大耳朵却是那么眼熟……
“多比?”哈利不敢相信地说。
那小家伙抬起头来,松开手指,露出一双巨大的棕色眼睛和一只形状和大小都像一个大蕃茄的鼻子。不是多比——不过,毫无疑问,这也是一个家养小精灵,和哈利的朋友多比以前的身分一样。哈利已经把多比从他先前的主人——马尔福一家手里解放了出来。
“先生刚才叫我多比吗?”小精灵从手指缝间好奇地问,声音很尖,甚至比以前多比的声音还要尖,是一种微微颤抖的刺耳的声音,因此哈利怀疑——尽管家养小精灵很难区别性别——这一个大概是女的。罗恩和赫敏都从座位上回过头来,他们虽然听哈利说过多比的许多事情,但从来没有真的见过他。就连韦斯莱先生也很有兴趣地扭头望着。