「そうか、あれが屋敷しもべ妖精なのか?」ロンが呟つぶやいた。「へんてこりんなんだね?」
「ドビーはもっとへんてこだったよ」ハリーの言葉に力が入った。
ロンは万まん眼がん鏡きょうを取り出し、向かいの観客席にいる観衆を見下ろしながら、あれこれ試しはじめた。
「スッゲェ!」ロンが万眼鏡の横の「再生つまみ」をいじりながら声を上げた。
「あそこにいるおっさん、何回でも鼻をほじるぜ……ほら、また……ほら、また……」
一方ハーマイオニーは、ビロードの表紙に房ふさ飾かざりのついたプログラムに、熱心に目を通していた。
「試合に先立ち、チームのマスコットによるマスゲームがあります」ハーマイオニーが読み上げた。
「ああ、それはいつも見み応ごたえがある」ウィーズリーおじさんが言った。「ナショナルチームが自分の国から何か生き物を連れてきてね、ちょっとしたショーをやるんだよ」
それから三十分の間に、貴き賓ひん席せきも徐じょ々じょに埋まってきた。ウィーズリーおじさんは、続けざまに握あく手しゅしていた。かなり重要な魔法使いたちに違いない。パーシーは、まるでハリネズミが置いてある椅子に座ろうとしているかのように、ひっきりなしに椅子から飛び上がっては、ピンと直ちょく立りつ不ふ動どうの姿勢をとった。魔ま法ほう大だい臣じんコーネリウス・ファッジ閣かっ下か直じき々じきのお出ましにいたっては、パーシーはあまりに深々と頭を下げたので、メガネが落ちて割れてしまった。大いに恐きょう縮しゅくしたパーシーは、杖つえでメガネを元通りにし、それからはずっと椅子に座っていた。それでも、コーネリウス・ファッジがハリーに、昔からの友人のように親しげに挨あい拶さつするのを、羨うらやましげな目で見た。ファッジとハリーは以前に会ったことがある。ファッジは、まるで父親のような仕し種ぐさでハリーと握手し、元気かと声をかけ、自分の両脇りょうわきにいる魔法使いにハリーを紹介しょうかいした。