ブルガリア選手はボックス席の座席の間に一列に並び、バグマンが選手の名前を呼び上げると、一人ずつブルガリア魔法大臣と握あく手しゅし、次にファッジと握手した。列の最後尾がクラムで、まさにボロボロだった。顔は血まみれで、両りょう眼めの周りに見事な黒いあざが広がりつつあった。まだしっかりとスニッチを握っている。地上ではどうもぎくしゃくしているとハリーは思った。Oオー脚きゃく気ぎ味みだし、はっきり猫ねこ背ぜだ。それでも、クラムの名が呼び上げられると、スタジアム中がワッと鼓こ膜まくが破れんばかりの大だい歓かん声せいを送った。
それからアイルランド・チームが入ってきた。エイダン・リンチはモランとコノリーに支えられている。二度目の激げき突とつで目を回したままらしく、目がうろうろしている。それでも、トロイとクィグリーが優勝杯を高々と掲かかげ、下の観客席から祝福の声が轟とどろき渡ると、うれしそうにニッコリした。ハリーは拍手のしすぎで手の感覚がなくなった。
いよいよアイルランド・チームがボックス席を出て、箒ほうきに乗り、もう一度ウイニング飛行を始めると(エイダン・リンチはコノリーの箒の後ろに乗り、コノリーの腰にしっかりしがみついてまだボーッと曖あい昧まいに笑っていた)、バグマンは杖つえを自分の喉のどに向け、「クワイエタス! 静まれ!」と唱となえた。
「この試合は、これから何年も語かたり草ぐさになるだろうな」
しゃがれた声でバグマンが言った。
「実に予想外の展開だった。実に……いや、もっと長い試合にならなかったのは残念だ……ああ、そうか……そう、君たちに借りが……いくらかな?」
フレッドとジョージが自分たちの座席の背を跨またいで、ルード・バグマンの前に立っていた。顔中でニッコリ笑い、手を突き出して。