
「賭かけをしたなんて母さんには絶対言うんじゃないよ」
紫むらさきの絨毯じゅうたんを敷しいた階段を、みんなでゆっくり下りながら、ウィーズリーおじさんがフレッドとジョージに哀あい願がんした。
「親おや父じ、心配ご無用」フレッドはうきうきしていた。
「このお金にはビッグな計画がかかってる。取り上げられたくはないさ」
ウィーズリーおじさんは、一瞬いっしゅん、ビッグな計画が何かと聞きたそうな様子だったが、かえって知らないほうがよいと考え直したようだった。
まもなく一いっ行こうは、スタジアムから吐はき出されてキャンプ場に向かう群衆ぐんしゅうに巻き込まれてしまった。ランタンに照らされた小道を引き返す道すがら、夜や気きが騒々しい歌声を運んできた。レプラコーンは、ケタケタ高笑いしながら手にしたランタンを打ち振り、勢いよく一行の頭上を飛び交かった。やっとテントにたどり着いたが、周りが騒がしいこともあり、誰もとても眠る気にはなれなかった。ウィーズリーおじさんは寝る前にみんなでもう一いっ杯ぱいココアを飲むことを許した。たちまち試合の話に花が咲さき、ウィーズリーおじさんは反則技の「コビング」についてチャーリーとの議ぎ論ろんにはまってしまった。ジニーが小さなテーブルに突つっ伏ぷして眠り込み、そのはずみでココアを床にこぼしてしまったので、ウィーズリーおじさんもやっと舌ぜっ戦せんを中止し、全員もう寝なさいと促うながした。ハーマイオニーとジニーは隣となりのテントに行き、ハリーはウィーズリー一家と一いっ緒しょにパジャマに着き替がえて二段ベッドの上に登った。キャンプ場のはずれからは、まだまだ歌声が聞こえ、バーンという音が時々響ひびいてきた。
「やれやれ、非ひ番ばんでよかった」ウィーズリーおじさんが眠そうに呟つぶやいた。
「アイルランド勢ぜいにお祝い騒ぎをやめろなんて、言いにいく気がしないからね」
第9章 黑魔标记