ビル、チャーリー、パーシーは近づいてくる一団に向かって、もう駆け出していた。ウィーズリーおじさんもそのあとを急いだ。魔法省の役人が四し方ほう八はっ方ぽうから飛び出し、騒ぎの現場に向かっていた。ロバーツ一家を宙に浮かべた一団が、ずんずん近づいてきた。
「さあ」フレッドがジニーの手をつかみ、森のほうに引っ張っていった。ハリー、ロン、ハーマイオニー、ジョージがそれに続いた。
森にたどり着くと、全員が振り返った。ロバーツ一家の下にいる群衆ぐんしゅうはこれまでより大きくなっていた。魔ま法ほう省しょうの役人が、何とかして中心にいるフードをかぶった一団に近づこうとしているのが見えた。苦戦している。ロバーツ一家が落下してしまうことを恐れて、何の魔法も使えずにいるらしい。
競きょう技ぎ場じょうへの小道を照らしていた色とりどりのランタンはすでに消えていた。木々の間を黒い影がまごまごと動き回っていた。子供たちが泣き喚わめいている。ひんやりとした夜や気きを伝つたって、不安げに叫さけぶ声、恐怖に戦おののく声が周りに響ひびいている。ハリーは顔も見えない誰かに、あっちへこっちへと押されながら歩いた。そのとき、ロンが痛そうに叫ぶ声が聞こえた。
「どうしたの?」ハーマイオニーが心配そうに聞いた。ハリーは出し抜けに立ち止まったハーマイオニーにぶつかってしまった。
「ロン、どこなの? ああ、こんなバカなことやってられないわ――ルーモス! 光よ!」
ハーマイオニーは杖つえ灯あかりを点ともし、その細い光を小道に向けた。ロンが地面に這はいつくばっていた。
「木の根につまずいた」ロンが腹立たしげに言いながら立ち上がった。
「まあ、そのデカ足じゃ、無理もない」背はい後ごで気取った声がした。