ハリー、ロン、ハーマイオニーはキッとなって振り返った。すぐそばに、ドラコ・マルフォイが一人で立っていた。木に寄り掛かかり、平然とした様子だ。腕組みしている。木の間からキャンプ場の様子をずっと眺ながめていたらしい。
ロンはマルフォイに向かって悪あく態たいをついた。ウィーズリーおばさんの前では決して口にしないだろう、という類たぐいの言葉だった。
「言葉に気をつけるんだな。ウィーズリー」マルフォイの薄うす青あおい目がギラリと光った。
「君たち、急いで逃げたほうがいいんじゃないのかい? その女こが見つかったら困るんじゃないのか?」
マルフォイはハーマイオニーのほうを顎あごでしゃくった。ちょうどそのとき、爆弾の破は裂れつするような音がキャンプ場から聞こえ、緑色の閃せん光こうが、一瞬いっしゅん周囲の木々を照らした。
「それ、どういう意味?」ハーマイオニーが食ってかかった。
「グレンジャー、連中はマグルを狙ねらってる。空中で下着を見せびらかしたいかい? だったら、ここにいればいい……連中はこっちへ向かっている。みんなでさんざん笑ってあげるよ」
「ハーマイオニーは魔女だ」ハリーが凄すごんだ。
「勝手にそう思っていればいい。ポッター」マルフォイが意地悪くニヤリと笑った。
「連中が『穢けがれた血ち』を見つけられないとでも思うなら、そこにじっとしてればいい」
「口を慎つつしめ!」ロンが叫さけんだ。
「穢けがれた血ち」が、マグル血けっ統とうの魔法使いや魔女を侮ぶ辱じょくするいやな言葉だということは、その場にいた全員が知っていた。
「気にしないで、ロン」マルフォイのほうに一歩踏ふみ出したロンの腕を押さえながら、ハーマイオニーが短く言った。