「ねえ、屋敷妖精って、とっても不当な扱いを受けてるわ!」ハーマイオニーが憤ふん慨がいした。
「奴ど隷れいだわ。そうなのよ! あのクラウチさんていう人、ウィンキーをスタジアムのてっぺんに行かせて、ウィンキーはとっても怖こわがってた。その上、ウィンキーに魔法をかけて、あの連中がテントを踏ふみつけにしはじめても逃げられないようにしたんだわ! どうして誰も抗こう議ぎしないの?」
「でも、妖よう精せいたち、満足してるんだろ?」ロンが言った。
「ウィンキーちゃんが競きょう技ぎ場じょうで言ったこと、聞いたじゃないか……『しもべ妖精は楽しんではいけないのでございます』って……そういうのが好きなんだよ。振り回されてるのが……」
「ロン、あなたのような人がいるから」ハーマイオニーが熱くなりはじめた。「腐ふ敗はいした、不当な制度を支える人たちがいるから。単に面倒だから、という理由で、何にも――」
森のはずれから、またしても大きな爆音が響ひびいてきた。
「とにかく先へ行こう。ね?」
ロンがそう言いながら、気き遣づかわしげにちらっとハーマイオニーを見たのを、ハリーは見み逃のがさなかった。マルフォイの言ったことも真実をついているかもしれない。ハーマイオニーがほかの誰よりもほんとうに危険なのかもしれない。三人はまた歩き出した。杖つえがポケットにはないことを知りながら、ハリーはまだそこを探っていた。
暗い小道を、フレッド、ジョージ、ジニーを探しながら、三人はさらに森の奥へと入っていった。途と中ちゅう、小鬼ゴブリンの一団を追い越した。金貨の袋ふくろを前に高笑いしている。きっと試合の賭かけで勝ったに違いない。キャンプ場のトラブルなどまったくどこ吹く風という様子だった。さらに進むと、銀色の光を浴びた一いっ角かくに入り込んだ。木立の間から覗のぞくと、開けた場所に三人の背の高い美しいヴィーラが立っていた。若い魔法使いたちがそれを取り巻いて、声を張り上げ、口々にガアガア話している。