おじさんはやさしくしもべ妖よう精せいに話しかけた。が、ウィンキーはおじさんにも怒ど鳴なりつけられたかのように、ギクリと身を引いた。
「正確に言うと、どこで、ハリーの杖を見つけたのかね?」
ウィンキーがキッチン・タオルの縁へりをしゃにむに捻ねじり続けていたので、手の中でタオルがボロボロになっていた。
「あ……あたしが発見なさったのは……そこでございます……」ウィンキーは小声で言った。
「そこ……その木立の中でございます……」
「ほら、エイモス、わかるだろう?」ウィーズリーおじさんが言った。
「『闇やみの印しるし』を創つくり出したのが誰であれ、そのすぐあとに、ハリーの杖つえを残して『姿すがたくらまし』したのだろう。あとで足がつかないようにと、狡こう猾かつにも自分の杖を使わなかった。ウィンキーは運の悪いことに、その直後にたまたま杖を見つけて拾った」
「しかし、それなら、ウィンキーは真しん犯はん人にんのすぐ近くにいたはずだ!」
ディゴリー氏は急せき込こむように言った。
「しもべ、どうだ? 誰か見たか?」
ウィンキーはいっそう激はげしく震ふるえ出した。巨大な目玉が、ディゴリー氏からルード・バグマンへ、そしてクラウチ氏へと走った。
それから、ゴクリと唾つばを飲んだ。
「あたしはだれもご覧になっておりません……だれも……」
「エイモス」クラウチ氏が無表情に言った。「通常なら君は、ウィンキーを役所に連行して尋じん問もんしたいだろう。しかしながら、この件は私に処しょ理りを任まかせてほしい」
ディゴリー氏はこの提案が気に入らない様子だったが、クラウチ氏が魔ま法ほう省しょうの実力者なので、断ことわるわけにはいかないのだと、ハリーにははっきりわかった。
「心配ご無用。必ず罰ばっする」クラウチ氏が冷たく言葉をつけ加えた。
「ご、ご、ご主人さま……」
ウィンキーはクラウチ氏を見上げ、目に涙をいっぱい浮かべ、言葉を詰まらせた。
「ご、ご、ご主人さま……ど、ど、どうか……」