ウィンキーの激はげしい泣き声があたり一面に響ひびき渡った。
ひどく居い心ごこ地ちの悪い沈ちん黙もくが流れた。やがてウィーズリーおじさんが静かな口調で沈黙を破った。
「さて、差さし支つかえなければ、私はみんなを連れてテントに戻るとしよう。エイモス、その杖つえは語るべきことを語り尽くした――よかったら、ハリーに返してもらえまいか――」
ディゴリー氏はハリーに杖を渡し、ハリーはポケットにそれを収めた。
「さあ、三人とも、おいで」ウィーズリーおじさんが静かに言った。しかし、ハーマイオニーはその場を動きたくない様子だ。泣きじゃくるウィンキーに目を向けたままだった。
「ハーマイオニー!」おじさんが少し急せかすように呼んだ。ハーマイオニーが振り向き、ハリーとロンのあとについて空地を離れ、木立の間を抜けて歩いた。
「ウィンキーはどうなるの?」空地を出るなり、ハーマイオニーが聞いた。
「わからない」ウィーズリーおじさんが言った。
「みんなのひどい扱い方ったら!」ハーマイオニーはカンカンだった。
「ディゴリーさんははじめっからあの子を『しもべ』って呼び捨てにするし……それに、クラウチさんたら! 犯人はウィンキーじゃないってわかってるくせに、それでもクビにするなんて! ウィンキーがどんなに怖こわがっていたかなんて、どんなに気が動どう転てんしてたかなんて、クラウチさんはどうでもいいんだわ――まるで、ウィンキーがヒトじゃないみたいに!」
「そりゃ、ヒトじゃないだろ」ロンが言った。
ハーマイオニーはキッとなってロンを見た。
「だからと言って、ロン、ウィンキーが何の感情も持ってないことにはならないでしょ。あのやり方には、むかむかするわ――」
「ハーマイオニー、わたしもそう思うよ」
ウィーズリーおじさんがハーマイオニーに早くおいでと合図しながら、急いで言った。
「でも、いまはしもべ妖よう精せいの権利を論じているときじゃない。なるべく早くテントに戻りたいんだ。ほかのみんなはどうしたんだ?」
「暗がりで見失っちゃった」ロンが言った。