「名前は出ていない」おじさんが言った。「こう書いてある。『森のはずれで、怯おびえながら、情報をいまや遅しと待ち構かまえていた魔法使いたちが、魔法省からの安全確認の知らせを期待していたとすれば、みんな、見事に失望させられた。『闇やみの印しるし』の出現からしばらくして魔法省の役人が姿を現し、誰も怪け我が人にんはなかったと主張し、それ以上の情報提供を拒こばんだ。それから一時間後に数人の遺い体たいが森から運び出されたという噂うわさを、この発表だけで十分に打ち消すことができるかどうか、大いに疑問である……』ああ、やれやれ」
ウィーズリーおじさんは呆あきれたようにそう言うと、新聞をパーシーに渡した。
「事実、誰も怪我人はなかった。ほかに何と言えばいいのかね? 『数人の遺体が森から運び出されたという噂……』そりゃ、こんなふうに書かれてしまったら、確実に噂が立つだろうよ」
おじさんは深いため息をついた。
「モリー、これから役所に行かないと。善ぜん後ご策さくを講こうじなければなるまい」
「父さん。僕も一いっ緒しょに行きます」パーシーが胸を張った。「クラウチさんはきっと手が必要です。それに、僕の鍋底報告書を直接に手渡せるし」
パーシーは慌あわただしくキッチンを出ていった。
おばさんは心配そうだった。
「アーサー、あなたは休きゅう暇か中ちゅうじゃありませんか! これはあなたの部ぶ署しょには何の関係もないことですし、あなたがいなくともみなさんがちゃんと処しょ理りなさるでしょう?」
「行かなきゃならないんだ、モリー。私が事じ態たいを悪くしたようだ。ローブに着き替がえて出かけよう……」
「ウィーズリーおばさん」ハリーは我が慢まんできなくなって、唐とう突とつに聞いた。
「ヘドウィグが僕宛あての手紙を持ってきませんでしたか?」
「ヘドウィグですって?」おばさんはよく呑のみ込めずに聞き返した。
「いいえ……来ませんよ。郵便は全然来ていませんよ」