「引退してる。昔は魔ま法ほう省しょうにいたけど」チャーリーが答えた。「親おや父じの仕事場に連れていってもらったとき、一度だけ会った。腕っこきの『オーラー』つまり『闇やみ祓ばらい』だった……『闇やみの魔ま法ほう使つかい捕ほ獲かく人にん』のことだけど」
ハリーがポカンとしているのを見て、チャーリーが一言つけ加えた。
「ムーディのお陰でアズカバンの独どく房ぼうの半分は埋まったな。だけど敵もわんさといる……逮たい捕ほされたやつの家族とかが主だけど……それに、歳をとってひどい被ひ害がい妄もう想そうに取り憑つかれるようになったらしい。もう誰も信じなくなって。あらゆるところに闇の魔法使いの姿が見えるらしいんだ」
ビルもチャーリーも、みんなをキングズ・クロス駅まで見送ることに決めた。しかし、パーシーは、どうしても仕事に行かなければならないからと、くどくど謝あやまった。
「いまの時期に、これ以上休みを取るなんて、僕にはどうしてもできない」パーシーが説明した。「クラウチさんは、ほんとうに僕を頼りはじめたんだ」
「そうだろうな。そう言えば、パーシー」ジョージが真剣な顔をした。「ぼかぁ、あの人がまもなく君の名前を覚えると思うね」
おばさんは勇ゆう敢かんにも村の郵便局から電話をかけ、ロンドンに向かうのに普通のマグルのタクシーを三台呼んだ。
「アーサーが魔法省から車を借りるよう努力したんだけど――」
おばさんがハリーに耳打ちした。すっかり雨に洗い流された庭で、タクシーの運転手たちがホグワーツ校用の重いトランクを六個、フーフー言いながら載のせるのを、みんなで眺ながめているときだった。
「でも一台も余よ裕ゆうがなかったの……あらまあ、あの人たちなんだかうれしそうじゃないわねぇ」