「ホグワーツで何が起こるのか、教えてよ!」フレッドが窓から身を乗り出して叫さけんだ。
おばさん、ビル、チャーリーが速度を上げはじめた汽車からどんどん遠ざかっていく。
「何の規則が変わるのぉ?」
ウィーズリーおばさんはただ微ほほ笑えんで手を振った。列車がカーブを曲る前に、おばさんも、ビルもチャーリーも『姿すがたくらまし』してしまった。
ハリー、ロン、ハーマイオニーはコンパートメントに戻った。窓を打つ豪ごう雨うで、外はほとんど見えない。ロンはトランクを開け、栗色のドレスローブを引っ張り出し、ピッグウィジョンの籠かごにバサリとかけて、ホーホー声を消した。
「バグマンがホグワーツで何が起こるのか話したがってた」ロンはハリーの隣となりに腰かけ、不満そうに話しかけた。「ワールドカップのときにさ。覚えてる? でも母親でさえ言わないことって、いったい何だと――」
「しっ!」ハーマイオニーが突然唇くちびるに指を当て、隣のコンパートメントを指差した。ハリーとロンが耳を澄すますと、聞き覚えのある気取った声が開け放したドアを通して流れてきた。
「……父上はほんとうは、僕をホグワーツでなく、ダームストラングに入学させようとお考えだったんだ。父上はあそこの校長をご存ぞん知じだからね。ほら、父上がダンブルドアをどう評価しているか、知ってるね――あいつは『穢けがれた血ち』贔びい屓きだ――ダームストラングじゃ、そんなくだらない連中は入学させない。でも、母上は僕をそんなに遠くの学校にやるのがお嫌いやだったんだ。父上がおっしゃるには、ダームストラングじゃ『闇やみの魔ま術じゅつ』に関して、ホグワーツよりずっと気のきいたやり方をしている。生徒が実際それを習得するんだ。僕たちがやってるようなケチな防ぼう衛えい術じゅつじゃない……」
ハーマイオニーは立ち上がってコンパートメントのドアのほうに忍び足で行き、ドアを閉めてマルフォイの声が聞こえないようにした。