「それじゃ、あいつ、ダームストラングが自分に合ってただろうって思ってるわけね?」ハーマイオニーが怒ったように言った。「ほんとにそっちに行ってくれてたらよかったのに。そしたらもうあいつのこと我が慢まんしなくてすむのに」
「ダームストラングって、やっぱり魔法学校なの?」ハリーが聞いた。
「そう」ハーマイオニーがフンという言い方をした。「しかも、ひどく評判が悪いの。『ヨーロッパにおける魔法教育の一いち考こう察さつ』によると、あそこは『闇やみの魔ま術じゅつ』にそうとう力を入れてるんだって」
「僕もそれ、聞いたことがあるような気がする」ロンが曖あい昧まいに言った。「どこにあるんだい? どこの国に?」
「さあ、誰も知らないんじゃない?」ハーマイオニーが眉まゆをちょっと吊つり上げて言った。
「ん――どうして?」ハリーが聞いた。
「魔法学校には昔から強烈きょうれつな対たい抗こう意い識しきがあるの。ダームストラングとボーバトンは、誰にも秘ひ密みつを盗ぬすまれないように、どこにあるか隠したいわけ」ハーマイオニーは至し極ごく当たり前の話をするような調子だ。
「そんなバカな」ロンが笑い出した。「ダームストラングだって、ホグワーツと同じぐらいの規き模ぼだろ。バカでっかい城をどうやって隠すんだい?」
「だって、ホグワーツも隠されてるじゃない」ハーマイオニーがびっくりしたように言った。
「そんなこと、みんな知ってるわよ……っていうか、『ホグワーツの歴史』を読んだ人ならみんな、だけど」
「じゃ、君だけだ」ロンが言った。「それじゃ、教えてよ――どうやってホグワーツみたいなとこ、隠すんだい?」
「魔法がかかってるの。マグルが見ると、朽くちかけた廃はい墟きょに見えるだけ。入口の看かん板ばんに、『危険、入るべからず。あぶない』って書いてあるわ」