午後になると、同級生が何人か顔を見せた。シェーマス・フィネガン、ディーン・トーマス、それに、猛もう烈れつばあちゃん魔女に育てられている、丸顔で忘れん坊のネビル・ロングボトムも来た。シェーマスはまだアイルランドの緑のロゼットをつけていた。魔法が消えかけているらしく、「トロイ! マレット! モラン!」とまだキーキー叫さけんではいるが、弱々しく疲れたかけ声になっていた。三十分もすると、延えん々えんと続くクィディッチの話に飽あきて、ハーマイオニーは再び「基き本ほん呪じゅ文もん集しゅう・四学年用」に没ぼっ頭とうし、「呼び寄せ呪じゅ文もん」を覚えようとしはじめた。
ネビルは友達が試合の様子を思い出して話しているのを羨うらやましそうに聞いていた。
「ばあちゃんが行きたくなかったんだ」ネビルがしょげた。「切符を買おうとしなかったし。でも、すごかったみたいだね」
「そうさ」ロンが言った。「ネビル、これ見ろよ……」
荷物棚だなのトランクをゴソゴソやって、ロンはビクトール・クラムのミニチュア人形を引っ張り出した。
「う、わーっ」ロンが、ネビルのぽっちゃりした手にクラム人形をコトンと落としてやると、ネビルは羨ましそうな声を上げた。
「それに、僕たち、クラムをすぐそばで見たんだぞ」ロンが言った。「貴き賓ひん席せきだったんだ――」
「君の人生最初で最後のな、ウィーズリー」ドラコ・マルフォイがドアのところに現れた。その後ろには、腰こし巾ぎん着ちゃくのデカぶつ暴ぼう漢かん、クラッブとゴイルが立っていた。二人とも、この夏の間に三十センチは背が伸びたように見えた。ディーンとシェーマスがコンパートメントのドアをきちんと閉めていかなかったので、こちらの会話が筒つつ抜ぬけだったらしい。