「ピーブズ!」誰かが怒ど鳴なった。
「ピーブズ、ここに降りてきなさい。いますぐに!」
副校長でグリフィンドールの寮りょう監かん、マクゴナガル先生だった。大おお広ひろ間まから飛び出てきて、濡れた床にズルッと足を取られ、転ぶまいとしてハーマイオニーの首にがっちりしがみついた。
「おっと――失礼、ミス・グレンジャー――」
「大丈夫です。先生」ハーマイオニーがゲホゲホ言いながら喉のどのあたりをさすった。
「ピーブズ、降りてきなさい。さあ!」マクゴナガル先生は曲がった三さん角かく帽ぼう子しを直しながら、四角いメガネの奥から上のほうに睨にらみをきかせて怒鳴った。
「なーんにもしてないよ!」
ピーブズはケタケタ笑いながら、五年生の女子学生数人めがけて水爆弾を放り投げた。投げつけられた女の子たちはキャーキャー言いながら大広間に飛び込こんだ。
「どうせビショ濡れなんだろう? 濡れネズミのチビネズミ! ウィィィィィィィィ!」
そして、こんどは到着したばかりの二年生のグループを水爆弾の標的にした。
「校長先生を呼びますよ!」マクゴナガル先生ががなり立てた。「聞こえたでしょうね、ピーブズ――」
ピーブズはベーッと舌を出し、最後の水爆弾を宙に放り投げ、けたたましい高笑いを残して、大だい理り石せきの階段の上へと消えていった。
「さあ、どんどんお進みなさい!」マクゴナガル先生は、ビショ濡ぬれ集団に向かって厳きびしい口調で言った。「さあ、大おお広ひろ間まへ、急いで!」
ハリー、ロン、ハーマイオニーはズルズル、ツルツルと玄げん関かんホールを進み、右側の二に重じゅう扉とびらを通って大広間に入った。ロンはぐしょ濡れの髪かみを掻かき揚げながら、怒ってブツブツ文句を言っていた。