「代表選手を決める公こう明めい正せい大だいな審査員って、誰なんだろう?」ハリーが言った。
「知るもんか」フレッドが言った。「だけど、そいつを騙だまさなきゃ。『老ふけ薬ぐすり』を数すう滴てき使えばうまくいくかもな、ジョージ……」
「だけど、ダンブルドアは二人が十七歳未満だって知ってるよ」ロンが言った。
「ああ、でも、ダンブルドアが代表選手を決めるわけじゃないだろ?」フレッドは抜け目がない。「俺の見るとこじゃ、審査員なんて、誰が立りっ候こう補ほしたかさえわかったら、あとは各校からベストな選手を選ぶだけで、歳なんて気にしないと思うな。ダンブルドアは俺おれたちが名乗りを上げるのを阻そ止ししようとしてるだけだ」
「でも、いままでに死人が出てるのよ」みんなでタペストリーの裏うらの隠し戸を通り、また一つ狭せまい階段を上がりながら、ハーマイオニーが心配そうな声を出した。
「ああ」フレッドは気楽に言った。「だけどずっと昔の話だろ? それに、ちょっとくらいスリルがなきゃ、おもしろくもないじゃないか? おい、ロン、俺たちがダンブルドアを出し抜く方法を見つけたらどうする? エントリーしたいか?」
「どう思う?」ロンはハリーに聞いた。「立りっ候こう補ほしたら気分いいだろな。だけど、もっと年上の選手がほしいんだろな……僕たちじゃまだ勉強不足かも……」
「僕なんか、ぜったい不ぶ足そくだ」フレッドとジョージの後ろから、ネビルの落ち込んだ声がした。「だけど、ばあちゃんは僕に立候補してほしいだろうな。ばあちゃんは、僕が家の名めい誉よを上げなきゃいけないっていっつも言ってるもの。僕、やるだけはやらな――ウワッ……」
ネビルの足が、階段の中ほどでズブリとはまり込んでいた。こんな悪戯いたずら階段がホグワーツのあちこちにあって、ほとんどの上級生は考えなくとも階段の消えた部分を飛び越す習慣ができている。しかし、ネビルは飛びっきり記憶力が悪かった。ハリーとロンがネビルの腋わきの下を抱えて引っ張り出した。階段の上では甲冑かっちゅうがギーギー、ガシャガシャと音を立てて笑っていた。
「こいつめ、黙だまれ!」鎧よろいのそばを通り過ぎるとき、ロンが兜かぶとの面めん頬ぼおをガシャンと引き下げた。