グリフィンドール塔とうにたどり着いた。入口は、ピンクの絹きぬのドレスを着た「太った婦人レディ」の大きな肖しょう像ぞう画がの後ろに隠れている。みんなが近づくと、肖像画が問いかけた。
「合言葉は?」
「ボールダーダッシュたわごと」ジョージが言った。「下にいた監かん督とく生せいが教えてくれたんだ」
肖像画がパッと開き、背はい後ごの壁かべの穴が現れた。全員よじ登って穴をくぐった。円形の談だん話わ室しつには、ふかふかした肘ひじ掛かけ椅い子すやテーブルが置かれ、パチパチと燃える暖だん炉ろの火で暖かかった。ハーマイオニーは楽しげに弾はじける火に暗い視し線せんを投げかけた。「おやすみなさい」と挨あい拶さつして、女じょ子し寮りょうに続く廊ろう下かへと姿を消す前に、ハーマイオニーが呟つぶやいた言葉を、ハリーははっきりと聞いた。
「奴ど隷れい労ろう働どう」
ハリー、ロン、ネビルは最後の螺ら旋せん階かい段だんを上り、塔とうのてっぺんにある寝しん室しつにたどり着いた。深しん紅くのカーテンがかかった四本柱のベッドが五つ壁かべ際ぎわに並び、足あし下もとにはそれぞれのベッドの主のトランクが置かれていた。ディーンとシェーマスはもうベッドに入るところだった。シェーマスのベッドの枕元にはアイルランドのロゼットがピンで留められ、ディーンのベッドの脇机わきづくえの上には、ビクトール・クラムのポスターが壁に貼はりつけられていた。ディーンお気に入りのウエストハム・サッカーチームの古ポスターは、その脇にピンで止めてある。
ちっとも動かないサッカー選手たちを眺ながめながら、ロンが頭を振り振りため息をついた。
「いかれてる」
ハリー、ロン、ネビルもパジャマに着き替がえ、ベッドに入った。誰かが――しもべ妖よう精せいに違いない――湯たんぽをベッドに入れてくれていた。ベッドに横たわり、外で荒れ狂う嵐の音を聞いているのは、ほっこりと気持がよかった。
「僕、立りっ候こう補ほするかも」暗がりの中でロンが眠そうに言った。「フレッドとジョージがやり方を見つけたら……試合に……やってみなきゃわかんないものな?」
「だと思うよ……」ハリーは寝ね返がえりを打った。
頭の中に次々と輝かがやかしい姿が浮かんだ……公こう明めい正せい大だいな審しん査さ員いんを出し抜いて、十七歳だと信じ込ませたハリー……ホグワーツの代表選手になったハリー……拍はく手しゅ喝かっ采さい、大歓声の全校生徒の前で、勝利の印に両手を挙げて校庭に立つ僕……僕はいま、対たい抗こう試合に優勝した……ぼんやりと霞かすむ群衆ぐんしゅうの中で、チョウ・チャンの顔がくっきりと浮かび上がる。賞讃しょうさんに顔を輝かがやかせている……。
ハリーは枕に隠れてニッコリした。自分にだけ見えて、ロンには見えないのが、とくにうれしかった。