「アイタッ!」十分ほどたったとき、ディーン・トーマスが叫さけんだ。「こいつ、襲おそった!」
ハグリッドが心配そうに駆かけ寄った。
「尻しっ尾ぽが爆発した!」手の火傷やけどをハグリッドに見せながら、ディーンが忌いま々いましそうに言った。
「ああ、そうだ。こいつらが飛ぶときにそんなことが起こるな」ハグリッドが頷うなずきながら言った。
「ギャーッ!」ラベンダー・ブラウンがまた叫んだ。「ギャッ、ハグリッド、あの尖とがったもの、何?」
「ああ。針を持ったやつもいる」ハグリッドの言葉に熱がこもった(ラベンダーはさっと箱から手を引っ込めた)。「たぶん、雄おすだな……雌めすは腹ンとこに吸盤きゅうばんのようなものがある……血を吸うためじゃねえかと思う」
「おやおや。なぜ僕たちがこいつらを生かしておこうとしているのか、これで僕にはよくわかったよ」マルフォイが皮ひ肉にくたっぷりに言った。「火傷させて、刺さして、噛かみつく。これが一度にできるペットだもの、誰だってほしがるだろ?」
「かわいくないからって役に立たないとはかぎらないわ」ハーマイオニーが反はん撃げきした。「ドラゴンの血なんか、すばらしい魔力があるけど、ドラゴンをペットにしたいなんて誰も思わないでしょ?」
ハリーとロンがハグリッドを見てニヤッと笑った。ハグリッドもモジャモジャ髯ひげの陰で苦にが笑わらいした。ハグリッドはペットならドラゴンがいちばんほしいはずだと、ハリーもロンもハーマイオニーもよく知っていた――三人が一年生のとき、ごく短い間だったが、ハグリッドはドラゴンをペットとして飼かっていた。凶暴きょうぼうなノルウェー・リッジバック種しゅで、ノーバートという名だった。ハグリッドは怪物のような生物が大好きだ――危険であればあるほど好きなのだ。