それからの二日間は、とくに事件もなく過ぎた。もっとも、ネビルが「魔ま法ほう薬やく学がく」の授業で溶かしてしまった大おお鍋なべの数が六個目になったことを除けばだが。夏休みの間に、一段と報ほう復ふく意い欲よくに磨みがきがかかったらしいスネイプ先生が、ネビルに居い残のこりを言い渡した。樽たる一いっ杯ぱいの角つのヒキガエルのはらわたを抜き出す、という処しょ罰ばつを終えて戻ってきたネビルは、ほとんど神しん経けい衰すい弱じゃく状態だった。
「スネイプがなんであんなに険けん悪あくムードなのか、わかるよな?」
ハーマイオニーがネビルに、爪つめの間に入り込んだカエルのはらわたを取り除く「ゴシゴシ呪じゅ文もん」を教えてやっているのを眺ながめながら、ロンがハリーに言った。
「ああ」ハリーが答えた。「ムーディだ」
スネイプが「闇やみの魔ま術じゅつ」の教職に就つきたがっていることは、みんなが知っていた。そして今年で四年連続、スネイプはその職に就き損そこねた。これまでの「闇の魔術」の先生を、スネイプはさんざん嫌っていたし、はっきり態度にも表した――ところが、マッド‐アイ・ムーディに対しては、奇妙なことに、正面きって敵意を見せないように用心しているように見えた。事実、ハリーが二人一いっ緒しょにいるところを目もく撃げきしたときは――食事のときや、廊ろう下かですれ違うときなど――必ず、スネイプがムーディの目(「魔法の目」も普通の目も)を避さけていると、はっきりそう感じた。
「スネイプは、ムーディのこと、少し怖こわがってるような気がする」ハリーは考え込むように言った。
「ムーディがスネイプを角つのヒキガエルに変えちゃったらどうなるかな」ロンは夢見るような目になった。「そして、やつを地ち下か牢ろう中ボンボン跳はねさせたら……」