ムーディの青い目が、ハリーを眺ながめ回しながら、微かすかにフフフと揺ゆれた。そして、こう言った。
「知らねばならん。惨むごいかもしれん、たぶんな。しかし、おまえたちは知らねばならん。知らぬふりをしてどうなるものでもない……さあ……おいで。ロングボトム。おまえが興きょう味みを持ちそうな本が何冊かある」
ネビルは拝おがむような目でハリー、ロン、ハーマイオニーを見たが、誰も何も言わなかった。ムーディの節ふしくれだった手を片方の肩に載のせられ、ネビルは、しかたなく、促うながされるままについていった。
「ありゃ、いったいどうしたんだ?」ネビルとムーディが角を曲がるのを見つめながら、ロンが言った。
「わからないわ」ハーマイオニーは考えに耽ふけっているようだった。
「だけど、大した授業だったよな、な?」大おお広ひろ間まに向かいながら、ロンがハリーに話しかけた。
「フレッドとジョージの言うことは当たってた。ね? あのムーディって、ほんとに、決めてくれるよな? 『アバダ ケダブラ』をやったときなんか、あのクモ、コロッと死んだ。あっという間におさらばだ――」
しかし、ハリーの顔を見て、ロンは急に黙だまり込んだ。それからは一言もしゃべらず、大広間に着いてからやっと、トレローニー先生の予言の宿題は何時間もかかるから、今夜にも始めたほうがいいと思う、と口をきいた。
ハーマイオニーは夕食の間ずっと、ハリーとロンの会話には加わらず、激げき烈れつな勢いで掻かき込み、また図書室へと去っていった。ハリーとロンはグリフィンドール塔とうへと歩き出した。ハリーは、夕食の間ずっと思い詰めていたことを、こんどは自分から話題にした。「許ゆるされざる呪じゅ文もん」のことだ。