「僕らがあの呪文を見てしまったことが魔ま法ほう省しょうに知れたら、ムーディもダンブルドアもまずいことにならないかな?」
「太った婦人レディ」の肖しょう像ぞう画がの近くまで来たとき、ハリーが言った。
「うん、たぶんな」ロンが言った。
「だけど、ダンブルドアって、いつも自分流のやり方でやってきただろ? それに、ムーディだって、もうとっくの昔から、まずいことになってたんだろうと思うよ。問もん答どう無む用ようで、まず攻こう撃げきしちゃうんだから――ゴミバケツがいい例だ」
「ボールダーダッシュたわごと」
「太った婦人レディ」がパッと開いて、入口の穴が現れた。二人はそこをよじ登って、グリフィンドールの談だん話わ室しつに入った。中は混み合っていて、うるさかった。
「じゃ、『占うらない学がく』のやつ、持ってこようか?」ハリーが言った。
「それっきゃねえか」ロンが呻うめくように言った。
教科書と星せい座ざ表ひょうを取りに二人で寝しん室しつに行くと、ネビルがぽつねんとベッドに座って、何か読んでいた。ネビルは、ムーディの授業が終わった直後よりは、ずっと落ち着いているようだったが、まだ本調子とはいえない。目を赤くしている。
「ネビル、大丈夫かい?」ハリーが聞いた。
「うん、もちろん」ネビルが答えた。「大丈夫だよ。ありがとう。ムーディ先生が貸してくれた本を読んでるとこだ……」
ネビルは本を持ち上げて見せた。「地ち中ちゅう海かいの水すい生せい魔ま法ほう植しょく物ぶつとその特とく性せい」とある。
「スプラウト先生がムーディ先生に、僕は『薬やく草そう学がく』がとってもよくできるって言ったらしいんだ」ネビルはちょっぴり自じ慢まんそうな声で言った。
ハリーはネビルがそんな調子で話すのを、めったに聞いたことがなかった。
「ムーディ先生は、僕がこの本を気に入るだろうって思ったんだ」
スプラウト先生の言葉をネビルに伝えたのは、ネビルを元気づけるのにとても気のきいたやり方だとハリーは思った。ネビルは、何かに優すぐれているなどと言われたことが、ほとんどないからだ。ルーピン先生だったらそうしただろうと思われるようなやり方だ。