「ハーマイオニー――耳を覚さませ」ロンが大きな声を出した。
「あいつらは、奴隷が、好き。奴隷でいるのが好きなんだ!」
「私たちの短期的目標は――」
ロンより大きな声を出し、何も耳に入らなかったかのように、ハーマイオニーは読み上げた。
「屋や敷しきしもべ妖精の正当な報酬ほうしゅうと労働条件を確保することである。私たちの長期的目標は、以下の事項を含む。杖つえの使用禁止に関する法律改正。しもべ妖精代表を一人、『魔ま法ほう生せい物ぶつ規き制せい管かん理り部ぶ』に参加させること。なぜなら、彼らの代表権は愕がく然ぜんとするほど無む視しされているからである」
「それで、そんなにいろいろ、どうやってやるの?」ハリーが聞いた。
「まず、メンバー集めから始めるの」ハーマイオニーは悦えつに入っていた。
「入会費、二シックルと考えたの――それでバッジを買う――その売上げを資金に、ビラ撒まきキャンペーンを展開するのよ。ロン、あなた、財ざい務む担当――私、上の階に、募ぼ金きん用ようの空あき缶かんを一個、置いてありますからね――ハリー、あなたは書記よ。だから、私がいましゃべっていることを、全部記録しておくといいわ。第一回会合の記録として」
一瞬いっしゅん、間まがあいた。その間、ハーマイオニーは二人に向かって、ニッコリ微ほほ笑えんでいた。ハリーは、ハーマイオニーには呆あきれるやら、ロンの表情がおかしいやらで、ただじっと座ったままだった。沈ちん黙もくを破ったのは、ロン、ではなく――ロンはどっちみち、呆あっ気けにとられて、一時的に口がきけない状態だった――トントンと軽く窓を叩たたく音だった。いまやガランとした談だん話わ室しつの向こうに、ハリーは、月明かりに照らされて窓まど枠わくに止まっている、雪のように白いふくろうを見た。