「ヘドウィグ!」ハリーは叫さけぶように名を呼び、椅子から飛び出して、窓に駆かけ寄り、パッと開けた。
ヘドウィグは、中に入ると、部屋をスイーッと横切って飛び、テーブルに置かれたハリーの予言の上に舞い降りた。
「待ってたよ!」ハリーは急いでヘドウィグのあとを追った。
「返事を持ってる」ロンも興こう奮ふんして、ヘドウィグの脚に結びつけられた汚い羊よう皮ひ紙しを指差した。
ハリーは急いで手紙を解き、座って読みはじめた。ヘドウィグはハタハタとその膝ひざに乗り、やさしくホーと鳴いた。
「何て書いてあるの?」ハーマイオニーが息を弾はずませて聞いた。
とても短い手紙だった。しかも、大急ぎで走り書きしたように見えた。ハリーはそれを読み上げた。
ハリー
すぐに北に向けて飛び発たつつもりだ。数々の奇妙な噂うわさが、ここにいるわたしの耳にも届いているが、君の傷きず痕あとのことは、その一連の出来事に連つらなる最新のニュースだ。また痛むことがあれば、すぐにダンブルドアのところへ行きなさい――風の便りでは、ダンブルドアがマッド‐アイ・ムーディを隠いん遁とん生せい活かつから引っ張り出したとか。ということは、ほかの者は誰も気づいていなくとも、何らかの気配を、ダンブルドアが読み取っているということなのだ。
またすぐ連れん絡らくする。ロンとハーマイオニーによろしく。ハリー、くれぐれも用心するよう。
シリウス
ハリーは目を上げてロンとハーマイオニーを見た。二人もハリーを見つめ返した。
「北に向けて飛び発つって?」ハーマイオニーが呟つぶやいた。「帰ってくるってこと?」
「ダンブルドアは、何の気配を読んでるんだ?」ロンは当とう惑わくしていた。
「ハリー――どうしたんだい?」
ハリーがこぶしで自分の額ひたいを叩たたいているところだった。膝ひざが揺ゆれ、ヘドウィグが振り落とされた。