翌よく朝あさ、早はや々ばやと目が覚めたハリーは、まるで眠っている脳みそが夜通しずっと考えていたかのように、完全な計画が頭の中にでき上がっていた。起き出して薄うす明あかりの中で着き替がえ、ロンを起こさないように寝しん室しつを出て、ハリーは誰もいない談だん話わ室しつに戻った。まだ「占うらない学がく」の宿題が置きっぱなしになっているテーブルから、羊よう皮ひ紙しを一枚取り、ハリーは手紙を書いた。
シリウスおじさん
傷きず痕あとが痛んだというのは、僕の思いすごしで、この間手紙を書いたときは半分寝ね呆ぼけていたようです。こちらに戻ってくるのはむだです。こちらは何も問題はありません。僕のことは心配しないでください。僕の頭はまったく普通の状態ですから。
ハリーより
それから、肖しょう像ぞう画がの穴をくぐり、静まり返った城の中を抜け(五階の廊ろう下かの中ほどで、ピーブズが大きな花か瓶びんをひっくり返してハリーにぶつけようとしたことだけが、ハリーをちょっと足止めしたが)、ハリーは西にし塔とうのてっぺんにあるふくろう小屋にたどり着いた。
小屋は円えん筒とう形けいの石造りで、かなり寒く、隙すき間ま風かぜが吹き込んでいた。どの窓にもガラスがはまっていないせいだ。床は、ワラやふくろうの糞ふん、ふくろうが吐はき出したハツカネズミやハタネズミの骨などで埋まっていた。塔のてっぺんまでびっしりと取りつけられた止まり木に、ありとあらゆる種類のふくろうが、何百羽も止まっている。ほとんどが眠っていたが、ちらりほらりと琥こ珀はく色いろの丸い目が、片目だけを開けてハリーを睨にらんでいた。ヘドウィグがメンフクロウとモリフクロウの間にいるのを見つけ、ハリーは、糞だらけの床で少し足を滑すべらせながら、急いでヘドウィグに近寄った。
第15章 布斯巴顿和德姆斯特朗