「たった一週間後だ!」ハッフルパフのアーニー・マクミランが、目を輝かがやかせて群れから出てきた。
「セドリックのやつ、知ってるかな? 僕、知らせてやろう……」
「セドリック?」アーニーが急いで立ち去るのを見送りながら、ロンが放ほう心しんしたように言った。
「ディゴリーだ」ハリーが言った。「きっと、対たい抗こう試合に名乗りを上げるんだ」
「あのウスノロが、ホグワーツの代表選手?」ペチャクチャとしゃべる群れを掻かき分けて階段のほうに進みながら、ロンが言った。
「あの人はウスノロじゃないわ。クィディッチでグリフィンドールを破ったものだから、あなたがあの人を嫌いなだけよ」ハーマイオニーが言った。
「あの人、とっても優秀な学生だそうよ――その上、監かん督とく生せいです!」
ハーマイオニーは、これで決まりだ、という口調だった。
「君は、あいつがハンサムだから好きなだけだろ」ロンが痛つう烈れつに皮ひ肉にくった。
「お言葉ですが、私、誰かがハンサムだというだけで好きになったりいたしませんわ」
ハーマイオニーは憤ふん然ぜんとした。
ロンはコホンと大きな空から咳せきをしたが、それがなぜか「ロックハート!」と聞こえた。
玄げん関かんホールの掲けい示じ板ばんの出現は、城の住人たちにはっきりと影響を与えた。それから一週間、ハリーがどこへ行っても、たった一つの話題、「三さん校こう対たい抗こう試じ合あい」の話で持ち切りだった。生徒から生徒へと、まるで感かん染せん力りょくの強い細さい菌きんのように噂うわさが飛び交かった。誰がホグワーツの代表選手に立りっ候こう補ほするか、試合はどんな内容か、ボーバトンとダームストラングの生徒は自分たちとどう違うのか、などなど。
城がことさら念ねん入いりに大掃除されているのにも、ハリーは気づいた。煤すすけた肖しょう像ぞう画がの何枚かが汚れ落としされた。描かれた本人たちはこれが気に入らず、額がく縁ぶちの中で背中を丸めて座り込み、ブツブツ文句を言っては、赤むけになった顔を触さわってぎくりとしていた。甲冑かっちゅうたちも突然ピカピカになり、動くときもギシギシ軋きしまなくなった。管理人のアーガス・フィルチは、生徒が靴くつの汚れを落とし忘れると凶きょう暴ぼう極きわまりない態度で脅おどしたので、一年生の女子が二人、ヒステリー状態になってしまった。
ほかの先生方も、妙に緊張きんちょうしていた。
「ロングボトム、お願いですから、ダームストラングの生徒たちの前で、あなたが簡単な『取り替かえ呪じゅ文もん』さえ使えないなどと、暴ばく露ろしないように!」
授業の終わりにマクゴナガル先生が怒ど鳴なった。一段と難しい授業で、ネビルがうっかり自分の耳をサボテンに移い植しょくしてしまったのだ。