ロンのほうは、おやおやと天井に目を向けた。秋の陽光が、天井から降ふり注ぎ、みんなを包んでいた。フレッドは急にベーコンを食べるのに夢中になった(双ふた子ごは二人ともS・P・E・Wバッジを買うことを拒きょ否ひしていた)。一方、ジョージは、ハーマイオニーのほうに身を乗り出してこう言った。
「まあ、聞け、ハーマイオニー。君は厨房ちゅうぼうに下りていったことがあるか?」
「もちろん、ないわ」ハーマイオニーが素そっ気けなく答えた。
「学生が行くべき場所とはとても考えられないし――」
「俺おれたちはあるぜ」ジョージはフレッドのほうを指差しながら言った。「何度もある。食べ物を失しっ敬けいしに。そして、俺たちは連中に会ってるが、連中は幸せなんだ。世界一いい仕事を持ってると思ってる――」
「それは、あの人たちが教育も受けてないし、洗せん脳のうされてるからだわ!」
ハーマイオニーは熱くなって話しはじめた。そのとき突然、頭上でサーッと音がして、ふくろう便が到着とうちゃくしたことを告げ、ハーマイオニーのそのあとの言葉は、羽は音おとに飲み込まれてしまった。急いで見上げたハリーは、ヘドウィグがこちらに向かって飛んでくるのを見つけた。ハーマイオニーはパッと話をやめた。ヘドウィグがハリーの肩に舞い降り、羽を畳たたみ、疲れた様子で脚を突き出すのを、ハーマイオニーもロンも心配そうに見つめた。
ハリーはシリウスの返事を引っ張るようにはずし、ヘドウィグにベーコンの外そと皮かわをやった。ヘドウィグはうれしそうにそれを啄ついばんだ。フレッドとジョージが三さん校こう対たい抗こう試じ合あいの話に没ぼっ頭とうしていて安全なのを確かめ、ハリーはシリウスの手紙を、ロンとハーマイオニーにヒソヒソ声で読んで聞かせた。
無理するな、ハリー。
わたしはもう帰国して、ちゃんと隠れている。ホグワーツで起こっていることはすべて知らせてほしい。ヘドウィグは使わないように。次々に違うふくろうを使いなさい。わたしのことは心配せずに、自分のことだけを注意していなさい。君の傷きず痕あとについてわたしが言ったことを忘れないように。
シリウス