「こんばんは。紳しん士し、淑女しゅくじょ、そしてゴーストの皆さん。そしてまた――今夜はとくに――客人の皆さん」ダンブルドアは外国からの学生全員に向かって、ニッコリした。
「ホグワーツへのおいでを、心から歓迎いたしますぞ。本校での滞たい在ざいが、快適で楽しいものになることを、わしは希望し、また確信しておる」
ボーバトンの女子学生で、まだしっかりとマフラーを頭に巻きつけたままの子が、間違いなく嘲ちょう笑しょうと取れる笑い声を上げた。
「あなたなんか、誰も引き止めやしないわよ!」ハーマイオニーが、その学生を睨ねめつけながら呟つぶやいた。
「三さん校こう対たい抗こう試じ合あいは、この宴うたげが終わると正式に開始される」ダンブルドアが続けた。「さあ、それでは、大いに飲み、食しょくし、かつ寛くつろいでくだされ!」
ダンブルドアが着席した。ハリーが見ていると、カルカロフ校長が、すぐに身を乗り出して、ダンブルドアと話しはじめた。
目の前の皿が、いつものように満たされた。厨房ちゅうぼうの屋や敷しきしもべ妖よう精せいが、今夜は無制限の大おお盤ばん振ぶる舞まいにしたらしい。目の前に、ハリーがこれまで見たことがないほどのいろいろな料理が並び、はっきり外国料理とわかるものもいくつかあった。
「あれ、何だい?」ロンが指差したのは、大きなステーキ・キドニー・パイの横にある、貝類のシチューのようなものだった。
「ブイヤベース」ハーマイオニーが答えた。
「いま、くしゃみした?」ロンが聞いた。
「フランス語よ」ハーマイオニーが言った。「一昨年おととしの夏休み、フランスでこの料理を食べたの。とってもおいしいわ」
「ああ、信じましょう」ロンが、ブラッド・ソーセージをよそいながら言った。