たかだか二十人、生徒が増えただけなのに、大おお広ひろ間まはなぜかいつもよりずっと混こみ合っているように見えた。たぶん、ホグワーツの黒いローブの中で、違う色の制服がパッと目に入るせいだろう。毛皮のコートを脱ぬいだダームストラング生は、その下に血のような深しん紅くのローブを着ていた。
歓迎会が始まってから二十分ほどたったころ、ハグリッドが、教職員テーブルの後ろのドアから横よこ滑すべりで入ってきた。テーブルの端はしの席にそっと座ると、ハグリッドはハリー、ロン、ハーマイオニーに手を振った。包ほう帯たいでぐるぐる巻きの手だ。
「ハグリッド、スクリュートは大丈夫なの?」ハリーが呼びかけた。
「ぐんぐん育っちょる」ハグリッドがうれしそうに声を返した。
「ああ、そうだろうと思った」ロンが小声で言った。「あいつら、ついに好みの食べ物を見つけたらしいな。ほら、ハグリッドの指さ」
そのとき、誰かの声がした。
「あのでーすね、ブイヤベース食べなーいのでーすか?」
ダンブルドアの挨あい拶さつのときに笑った、あのボーバトンの女子学生だった。やっとマフラーを取っていた。長いシルバーブロンドの髪かみが、さらりと腰まで流れていた。大きな深いブルーの瞳ひとみ、真っ白できれいな歯並びだ。
ロンは真っ赤になった。美少女の顔をじっと見つめ、口を開いたものの、わずかにゼイゼイと喘あえぐ音が出てくるだけだった。
「ああ、どうぞ」ハリーが美少女のほうに皿を押しやった。
「もう食べ終わりまーしたでーすか?」
「ええ」ロンが息も絶たえ絶だえに答えた。「ええ、おいしかったです」
美少女は皿を持ち上げ、こぼさないようにレイブンクローのテーブルに運んでいった。ロンは、これまで女の子を見たことがないかのように、穴の空あくほど美少女を見つめ続けていた。ハリーが笑い出した。その声でロンははっと我に返ったようだった。