「あの女ひと、ヴィーラだ!」ロンはかすれた声でハリーに言った。
「いいえ、違います!」ハーマイオニーがバシッと言った。「まぬけ顔で、ポカンと口を開けて見とれてる人は、ほかに誰もいません!」
しかし、ハーマイオニーの見方は必ずしも当たっていなかった。美少女が大広間を横切る間、たくさんの男の子が振り向いたし、何人かは、ロンと同じように一時的に口がきけなくなったようだった。
「間違いない! あれは普通の女の子じゃない!」ロンは体を横に倒して、美少女をよく見ようとした。「ホグワーツじゃ、ああいう女の子は作れない!」
「ホグワーツだって、女の子はちゃんと作れるよ」ハリーは反はん射しゃ的てきにそう言った。シルバーブロンド美少女から数席離れたところに、たまたまチョウ・チャンが座っていた。
「お二人さん、お目々がお戻りになりましたら――」ハーマイオニーがキビキビと言った。「たったいま誰が到着とうちゃくしたか、見えますわよ」
ハーマイオニーは教職員テーブルを指差していた。空あいていた二席が塞ふさがっている。ルード・バグマンがカルカロフ校長の隣となりに、パーシーの上じょう司しのクラウチ氏がマダム・マクシームの隣に座っていた。
「いったい何しにきたのかな?」ハリーは驚いた。
「三さん校こう対たい抗こう試じ合あいを組織そしきしたのは、あの二人じゃない?」ハーマイオニーが言った。「始まるのを見たかったんだと思うわ」
次のコースが皿に現れた。なじみのないデザートがたくさんある。ロンは何だか得え体たいの知れない淡あわい色のブラマンジェをしげしげ眺ながめ、それをそろそろと数センチくらい自分の右側に移動させ、レイブンクローのテーブルからよく見えるようにした。しかし、ヴィーラらしき美少女は、もう十分食べたという感じで、ブラマンジェを取りにこようとはしなかった。
金の皿が再びピカピカになると、ダンブルドアがあらためて立ち上がった。心地よい緊きん張ちょう感かんが、いましも大広間を満たした。何が起こるかと、ハリーは興こう奮ふんでぞくぞくした。ハリーの席から数席向こうでフレッドとジョージが身を乗り出し、全神経を集中してダンブルドアを見つめている。