「時は来た」ダンブルドアが、いっせいに自分を見上げている顔、顔、顔に笑いかけた。
「三さん大だい魔ま法ほう学がっ校こう対たい抗こう試じ合あいはまさに始まろうとしておる。『箱』を持ってこさせる前に、二言、三言説明しておこうかの――」
「箱って?」ハリーが呟つぶやいた。ロンが「知らない」とばかり肩をすくめた。
「――今年はどんな手順で進めるのかを明らかにしておくためじゃが。その前に、まだこちらのお二人を知らない者のためにご紹介しょうかいしよう。国こく際さい魔ま法ほう協きょう力りょく部ぶ部長、バーテミウス・クラウチ氏」――儀ぎ礼れい的てきな拍手がパラパラと起こった――「そして、魔法ゲーム・スポーツ部部長、ルード・バグマン氏じゃ」
クラウチのときよりもはるかに大きな拍手があった。ビーターとして有名だったからかもしれないし、ずっと人好きのする容よう貌ぼうのせいかもしれなかった。バグマンは、陽気に手を振って拍手に応こたえた。バーテミウス・クラウチは、紹介されたとき、にこりともせず手を振りもしなかった。クィディッチ・ワールドカップでのスマートな背広スーツ姿すがたを覚えているハリーにとって、魔法使いのローブがクラウチ氏とちぐはぐな感じがした。チョビ髭ひげもぴっちり分けた髪かみも、ダンブルドアの長い白はく髪はつと顎あご鬚ひげの隣となりでは、際きわだって滑こっ稽けいに見えた。
「バグマン氏とクラウチ氏は、この数ヵ月というもの、三さん校こう対たい抗こう試じ合あいの準備に骨身を惜おしまず尽力されてきた」ダンブルドアの話は続いた。
「そして、おふた方は、カルカロフ校長、マダム・マクシーム、それにこのわしとともに、代表選手の健けん闘とうぶりを評価する審しん査さ委員会に加わってくださる」
「代表選手」の言葉が出たとたん、熱心に聞いていた生徒たちの耳が一段と研とぎ澄すまされた。ダンブルドアは、生徒が急にしんとなったのに気づいたのか、ニッコリしながらこう言った。
「それでは、フィルチさん、箱をこれへ」