フレッドが「フレッド・ウィーズリー――ホグワーツ」と書いた羊よう皮ひ紙しメモをポケットから取り出すのを、ハリーはドキドキしながら見守った。フレッドはまっすぐに線の際きわまで行ってそこで立ち止まり、十五メートルの高みから飛び込みをするダイバーのように、爪つま先さき立って前後に体を揺ゆすった。そして、玄げん関かんホールのすべての目が見守る中、フレッドは大きく息を吸い、線の中に足を踏ふみ入れた。
一瞬いっしゅん、ハリーは、うまくいったと思った――ジョージもきっとそう思ったのだろう。やった、という叫さけび声とともに、フレッドのあとを追って飛び込んだのだ――が、次の瞬間しゅんかん、ジュッという大きな音とともに、双ふた子ごは二人とも金色の円の外に放り出された。見えない砲ほう丸がん投げ選手が二人を押し出したかのようだった。二人は、三メートルほども吹っ飛び、冷たい石の床に叩たたきつけられた。泣きっ面に蜂はちならぬ恥はじ。ポンと大きな音がして、二人ともまったく同じ白い長い顎あご鬚ひげが生えてきた。玄関ホールが大だい爆ばく笑しょうに沸わいた。フレッドとジョージでさえ、立ち上がって互いの鬚を眺ながめたとたん、笑い出した。
「忠告ちゅうこくしたはずじゃ」深みのある声がした。おもしろがっているような調子だ。みんなが振り向くと、大おお広ひろ間まからダンブルドア校長が出てくるところだった。目をキラキラさせてフレッドとジョージを観賞かんしょうしながら、ダンブルドアが言った。
「二人とも、マダム・ポンフリーのところへ行くがよい。すでに、レイブンクローのミス・フォーセット、ハッフルパフのミスター・サマーズもお世話になっておる。二人とも少しばかり歳をとる決心をしたのでな。もっとも、あの二人の鬚は、君たちのほど見事ではないがの」
ゲラゲラ笑っているリーにつき添そわれ、フレッドとジョージが医い務む室しつに向かい、ハリー、ロン、ハーマイオニーも、クスクス笑いながら朝食に向かった。