大おお広ひろ間まの飾りつけが、今朝はすっかり変わっていた。ハロウィーンなので、生きたコウモリが群むらがって、魔法のかかった天井の周りを飛び回っていたし、何百というくり抜きかぼちゃが、あちこちの隅すみでニターッと笑っていた。ハリーが先に立って、ディーンとシェーマスのそばに行くと、二人は、十七歳以上の生徒で、誰がホグワーツから立りっ候こう補ほしただろうかと話しているところだった。
「噂うわさだけどさ、ワリントンが早起きして名前を入れたって」ディーンがハリーに話した。
「あのスリザリンの、でっかいナマケモノみたいなやつがさ」
クィディッチでワリントンと対戦したことがあるハリーは、むかついて首を振った。
「スリザリンから代表選手を出すわけにはいかないよ!」
「ハッフルパフじゃ、みんなディゴリーのことを話してる」シェーマスが軽けい蔑べつしたように言った。「だけど、あいつ、ハンサムなお顔を危険にさらしたくないんじゃないでしょうかね」
「ちょっと、ほら、見て!」ハーマイオニーが急に口を挟はさんだ。
玄げん関かんホールのほうで、歓かん声せいが上がった。椅子に座ったまま振り向くと、アンジェリーナ・ジョンソンが、少しはにかんだように笑いながら、大広間に入ってくるところだった。グリフィンドールのチェイサーの一人、背の高い黒人のアンジェリーナは、ハリーたちのところへやってきて、腰かけるなり言った。
「そう、わたし、やったわ! いま、名前を入れてきた!」
「ほんとかよ!」ロンは感心したように言った。
「それじゃ、君、十七歳じゅうなななの?」ハリーが聞いた。
「そりゃ、もち、そうさ。鬚ひげがないだろ?」ロンが言った。
「先週が誕たん生じょう日びだったの」アンジェリーナが言った。
「うわぁ、私、グリフィンドールから誰か立候補してくれて、うれしいわ」ハーマイオニーが言った。「あなたが選ばれるといいな、アンジェリーナ!」
「ありがとう、ハーマイオニー」アンジェリーナがハーマイオニーに微ほほ笑えみかけた。
「ああ、かわいこちゃんのディゴリーより、君のほうがいい」シェーマスの言葉を、テーブルのそばを通りがかった数人のハッフルパフ生が聞きつけて、恐い顔でシェーマスを睨にらんだ。